嫌味ったらしい女を熱演…最も演技が素晴らしかったキャストは? Netflix『阿修羅のごとく』評価&考察レビュー

text by 小林久乃

Netflixドラマ『阿修羅のごとく』が新年早々、話題を呼んでいる。かつて昭和、平成と二度、映像化されている人気作が、令和では是枝裕和監督によってリメイクされることになった。見どころはたくさんあるけれど、今回は「色濃い四姉妹のキャラクター」について語る。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:小林久乃】

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報はこちら

女が我慢を強いられる時代を生き抜く四姉妹の熱量

Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」 1月9日(木)よりNetflixにて世界独占配信
Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」 1月9日(木)よりNetflixにて世界独占配信

 まずは『阿修羅のごとく』のあらすじをたどる。

 “とある日。竹沢家の父に浮気疑惑が浮上して、実家に四姉妹が集まる。長女の綱子(宮沢りえ)は未亡人で活花の師範、次女の巻子(尾野真千子)は結婚して、ふたりの子どもがいる専業主婦。三女の滝子(蒼井優)は独身で図書館 司書、四女の咲子(広瀬すず)はボクサーと同棲中のフリーター。一見、幸せそうに見える4人それぞれのごく普通の生活ぶりの向こうには、抱えきれない妬み恨み嫉みが渦巻く”

 物語の中心となるのは四姉妹の豪華キャストだ。
 
 宮沢りえ演じる綱子は夫を亡くし、息子も手を離れた未亡人。姉妹ではいちばん、おおらかで、あっけらかんとした性格だ。

「見ぬこと清し、私無理だなー、絶対!」
「人間なんてあつかましいもんなんだから。ずいぶん恥かいたって結構ケロッと忘れてやってくるんだから」
 
 料亭の主・貞治(内野聖陽)と不倫を続けている。隠していたつもりでいたのに、ふたりのことは貞治の妻や巻子にも知られることになる。背徳感のある恋をどうしても捨てることができない綱子。

 貞治と一緒にいるシーンはいつも艶(なまめ)かしい。着物姿から始まるラブシーンというのがまた…。演じる宮沢りえから感じる、どうしようもない中年女のツヤにドキドキさせられる。

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