初回から意味深すぎる…比嘉愛未と岩田剛典の細やかな表情に注目すべきワケ。ドラマ『フォレスト』第1話考察レビュー
比嘉愛未&岩田剛典がW主演を務めるドラマ『フォレスト』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が放送開始した。仲睦まじいカップルが、お互いについていた「嘘」によって、人間不信の森(フォレスト)へ迷い込んでいくラブサスペンス。今回は、第1話のレビューをお届け。(文・西田梨紗)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西田梨紗】
アメリカ文学を研究。文学研究をきっかけに、連ドラや大河ドラマの考察記事を執筆している。社会派ドラマの考察が得意。物心ついた頃から天海祐希さんと黒木瞳さんのファン。
幸せなふたりの日常は偽りなのかーー。
『フォレスト』は暗い森(フォレスト)に迷い込んだかのような錯覚にとらわれる作品だ。この森の中にはウソや支配欲、孤独といった人間のどす黒さが渦巻いている。我々が暮らす平穏な日常の中には、実はあちらこちらにウソが潜んでいる。そんなことを改めて感じる第1話だった。
本作は主人公の楓(比嘉愛未)が恋人の純(岩田剛典)と食べるため、笑顔で焼き鳥を買うシーンからはじまった。帰宅した楓を「おかえり」と笑顔で迎え入れる純、そしてあたたかな食卓…。
しかし、この幸せな日常は偽りなのではないかと疑ってしまう。「ずっとこんな日が…続くと思ってた」と楓のナレーションと、対して「ずっとこんな日が…続くはずないと思っていた」という純のナレーションは意味深長だ。
何がウソで、何が本当なのか、現時点では分かりにくいが、楓と純には家族に恵まれていないという共通点があるのは確かである。楓は母であるカリスマ経営者の鈴子(松田美由紀)のことを、両親はいないとウソをつくほどに忌み嫌っている。親がいないというウソは人によっては眉を顰(ひそ)めたくなるものだ。しかし、本人には周囲が理解できないほどの苦しみ、長年にわたって癒されない心の傷がある。
楓にとって、実家で母と過ごした記憶は“二度と思い出したくない”もの。しかし人は思い出したくないことほど思い出してしまうもので、嫌な記憶が度々フラッシュバックする。やりたいこと・やったことを否定され、“私の言うとおりにすれば間違いはない”と命じられた幼少期。娘の楓を操り人形のように扱う鈴子には、毒親気質を感じる。