平賀源内の正体は?
瞬く間に源内は有名人となり、商売人たちがこぞって宣伝文を書いてもらおうと彼を探している状態。蔦重も色んな人に源内の居場所を聞いて回るが、一向に見つけられない。
そんな中、「源内は田沼のところに出入りしているらしい」という噂を聞いた蔦重は、以前、吉原の窮状を田沼に訴えてみてはどうかとアドバイスしてくれた炭売りの男(安田顕)のもとを訪ねるのだった。
源内に引き合わせてくれるというので、貧家銭内と名乗るその男と、弟子らしき小田新之助(井之脇海)を老舗女郎屋「松葉屋」へと案内した蔦重。そこで男の正体が平賀源内であることを知るや否や蔦重は序文を書いてもらおうと必死で吉原のセールスポイントを挙げるが、どれも源内には刺さらない。
その最大の理由は、源内が男色家だからだ。吉原には3000人の女郎がいて、どんな人でも好みの女が見つかるとはいえ、そもそも女が好きでなければ意味がない。万策尽きた…と思ったその時、花の井(小芝風花)が男装姿で現れる。
花の井は単に、源内が男色家だから男の格好をしたわけではない。源内が松葉屋の主人たちに「瀬川」を所望するのを聞いていたのだ。「瀬川」とは、吉原で代々名妓に引き継がれる名跡。しかし、四代目以降、とある理由によってその名は途絶えていた。
そんな「瀬川」を源内が所望した行動の裏には、二代目・瀬川菊之丞(花柳寿楽)への思いがある。菊之丞は女形の歌舞伎役者で、源内とは“いい仲”だったことは有名な話。だが、彼は33歳の若さでこの世を去っていた。