瀬奈にトラウマを植え付けたあの音…。
瀬奈を痛い目に遭わせたのは、8年前に交際していた元カレ・宇井(田中圭)のようだが、現段階ではそこまで悪いやつには思えない。瀬奈の親友たちは、宇井のことを「5年も付き合ってたけど、急にいなくなったクソ男」と言っていたが、彼はしっかり瀬奈と向き合おうとしていたように感じる。
たしかに、瀬奈に相談せずに会社を設立したのは、よくなかったかもしれない。しかし、宇井はその件について何度も話し合おうとしていた。「この前はごめん」「会って話そう」「今度話したい」「大学の近くにいるんだけど会えない?」「時間あるときでいいから連絡ほしい」「話がしたい」と、連日メッセージを送っていたのに、すべて既読無視していたのは瀬奈の方だ。
ここまで無視され続けたら、関係修復するのはむずかしいと悟るだろうし、「別れよう」と言うのも仕方がないと思う。
おそらく、宇井に振られる前の瀬奈は“メルヘン王国の住人”こと真戸原(松村北斗)と同じような恋愛観を持っていたのではないだろうか。
ちなみに、新人弁護士の真戸原は、とにかく理想主義者。婚約者に前科持ちであることがバレそうになって婚約破棄をしようとした依頼人についても、「愛し合って結婚まで考えた2人が、逮捕歴くらいで別れるなんて変です」と言っていた。「そもそも、長く付き合った恋人が突然いなくなるなんて、おかしいじゃないですか」とも。
瀬奈の場合は、かなりの前兆があったわけだが、返信をしなかったくらいで別れを切り出されるわけがない…という甘えがどこかにあったのではないだろうか。「どれだけ長く付き合っても、ダメになるのは一瞬だからね」と言っていた祥子とは、真逆の考えを持っていたのだと思う。これだけ長く付き合って来たのだがら、ちょっとやそっとのことでは切れるはずがない、と。
それなのに、宇井の家に行ったらもぬけの殻だったことに深く傷つき、“裏切られた”と感じてしまったのだろう。そのとき、宇井の家に鳴り響いていた踏切音が、瀬奈のトラウマになってしまった。