初回からあまりにも重く苦しい事件が描かれる

『秘密~THE TOP SECRET~』第1話©カンテレ
『秘密~THE TOP SECRET~』第1話©カンテレ

 さらに、警察という組織に属している以上、第九は巨大権力の傘下でしか動くことはできない。それを象徴するのが、第1話で描かれる鎌倉一家殺人事件だ。

 警視庁長官から薪に言い渡されたのは、第九初の死刑囚の脳の解析。すでに死刑が執行されていた、鎌倉一家殺人事件の犯人として逮捕された露口浩一(光石研)のものだった。第一に罪状と事実の照合を求められるものの、警視庁長官からは「死刑が執行された犯罪者に別の真実は必要ない」と、解析結果を報告書に記載することなく、脳内だけに留めておくよう釘を刺される薪。

 しかし、MRI捜査によって映像化された死刑囚の視界に映っていたのは、海に投棄されて殺されたはずの長女・絹子(夏子)が血塗れでナイフを手に持つ姿だった。時を同じくして、父親の死刑執行を見計らっていたかのように、絹子は都内の交番に出頭する。

 殺人犯ではなかった人物はすでに死刑が執行され、実行犯であるはずの彼女は被害者として世に放たれる。まさに「罪状」と「事実」が異なる事例でありながら、絶対の守秘義務が課されているため、薪と鈴木はその罪を追求することができない。

 画期的な技術が引き起こした矛盾が、ふたりの前に立ち塞がる。

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