誰であっても、大きな”何か”を引き起こす要因となり得る

『御上先生』第2話 ©TBS
『御上先生』第2話 ©TBS

 “ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?”という問いで知られるバタフライ・エフェクト。つまり世の中の誰であっても、その行動や発言によって、大きな“何か”を引き起こしてしまう可能性がある。高校生たちの言動を見ていると、こちらも襟を正して毎日を生きようと思わされる。

 その一方で、社会の問題を取り上げていることも見逃せない。神崎は自分が起こした行動によって批判にさらされることがあっても、「俺はそんなんじゃ絶対死なない」と言い放つ。

 対して、御上は「自分を過信しないほうがいい」とリアルを突きつける。人は自分が思っているよりはるかに弱い生き物で、自分に向けられる悪意を何倍にも増幅させてダメージを受けてしまう。頭脳明晰であっても社会にまだ出たことのない高校生にそっと現実を教えるような言葉には身につまされる。

 生徒たちが噂していた「もうネットニュースになってる。大して調べもせずに書くんだね」という言葉も、取材なしでの“コタツ記事”が横行するマスコミへ一石を投じているようにも聞こえてくる。

 これらの問題をドラマでの文脈から拾うことができていたと、安心していたのもつかの間。知らず知らずのうちにバイアスがかかって、自らの視界が曇っていたことに気づいた瞬間は恐怖さえあった。

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