楓(比嘉愛未)が食中毒事件にこだわる理由

『フォレスト』第4話©ABCテレビ
『フォレスト』第4話©ABCテレビ

 楓は「私にとって純は かけがえのない人です また あのときみたいに 逃げて後悔はしたくない どんなことがあっても どんな事実を知ることになっても 私は… 私が正しいと思ったことをします」と、病室で眠る鈴子に誓っていた。

 この台詞から分かるのは、楓は義憤の念だけでこの事件を追っているわけではないことだ。かつて純と出会ったことで自分を取り戻したと話していたように、今の楓にとって、純はかけがえのない大切な存在で、だからこそ純と向き合うためにやっている。

 人と本気で向き合えば、時に苦しみを伴うこともある。表面的な付き合いだけであれば知らずにいたであろうその人の一面を知り、傷ついてしまう可能性はある。しかし、それを乗り越えてこそ構築できる関係性もある。

 ただ、楓が真相解明にこだわるのは純の存在だけでなく、鈴子の娘として宏樹に対する責任や罪悪感を抱いている部分が大きいのだと思う。娘にとって母親は反抗したくなる存在だが、その根底には愛情があることが多い。母とのつながりを感じているからこそ、自分の意に反することに腹が立つ。

 楓の宏樹への罪悪感は彼の母・慶子(朝加真由美)にも伝わったのだろう。慶子は3年前の事件の責任が息子にはなかったと楓から聞かされたとき、怒りと悲しみで取り乱していた。慶子は幾島家を許さないだろうが、楓に息子の名誉を取り戻すことを託してはいる。楓が息子を理解してくれていたことに心を動かされたからである。

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