成田凌の芝居に翻弄される…。
「親父はきっと罪を犯していない。ただ、疲れたんだ。親父、悔しかったよなぁ」
友哉はそう心の中で力郎に語りかけながら、力なく微笑み、目から涙を流す。その表情には父親への同情と、社会に対する怒りを超えた諦めのような感情が入り混じっていた。
一方で、「俺が山下春生を殺しました」と面会室で松風(松山ケンイチ)に揺さぶりをかける時の友哉はシリアルキラーに見えなくもない。成田凌の二面性のある演技に私たち視聴者も翻弄されている。
そんな友哉から、週刊誌記者の神井(磯村勇斗)に「あなたを弁護人にしていいか聞いてください」と頼まれた松風。神井は東賀山事件の件で友哉と数回会ったことがあるという。
ここで疑問に思うのが、なぜあの事件で記者のせいで何度も痛い目に遭った友哉が、同じ記者である神井に自分の弁護人選出を委ねるのかということ。特に神井は心麦の身辺を土足で嗅ぎ回る、“マスゴミ”と言われても仕方ないような人物として描かれている。
しかしながら、「俺は知りたいだけなんだよなぁ、全部を全部。地獄に堕ちても」という台詞が物語るように、真実を追い求める狂気的なまでの姿勢を、友哉はある意味で信頼しているのではないだろうか。少なくとも、神井に嘘をでっち上げるような真似はしないと思わせる記者としてのプライドを感じさせる。
そんな神井から、自分と伯母の夏美(原日出子)と血が繋がっていないことを証明するDNA鑑定結果を突きつけられた心麦。つまり夏美の弟である春生とも心麦は血が繋がっていない可能性が高い。
動揺する心麦に、神井は「そこで気になったのが、東賀山事件で生き残った当時0歳の林川歌さん。この子とあなたが同年代というのは単なる偶然ですかね?」と問いかける。