”技能実習生”制度をめぐる問題

『東京サラダボウル』第5話 ©NHK
『東京サラダボウル』第5話 ©NHK

 ティエンは6年前に技能実習生として来日、3年間働いたのちにベトナムへ帰国し、再び日本へやって来た。技能実習生とは本来、日本で学んだ技術を祖国で生かしてもらうための制度だ。

 しかし、実際には3~5年でいなくなってしまう人材ということで末端作業しか任せてもらえない場合がほとんどだという。制度が正しく活用されていないのは由々しき事態だが、これは目先の労働力が足りていない現場だけで解決できる問題ではないだろう。

 先輩職員の別島(亀田佳明)も、まさにそのように考えている人物だった。鴻田は体調不良を理由に欠勤している別島の自宅を訪れて話を聞き、事件の全容が見えてくる。

 普段から別島にきつく当たられていたティエンだったが、彼は自分を「ラッキー」と言っていた。それは、同じタイミングで日本に来た仲間たちよりも恵まれた環境にいたから。別島以外の施設の人たちは優しいし、何よりも早川(黒崎煌代)という友だちがいた。

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