青木(中島裕翔)は”秘密”を背負って、薪と並んで歩くことができるか

『秘密~THE TOP SECRET~』第3話©カンテレ
『秘密~THE TOP SECRET~』第3話©カンテレ

 3年が経っても、未だに個人のプライバシーや倫理上の問題をクリアできているわけではない。それでもMRI捜査が行われるのは、凶悪事件を解決するための突破口として第九が必要とされているからだ。

「人の脳を見ただけで心まで映りはしない。死んだ人の心は死んだ人のものだ。死んだ人の代わりなど誰もなれない。鈴木さんの代わりには誰もなれない」

 病気で亡くなった青木の父は、第九の仕事に対して複雑な感情を持っていながらも、残した日記に息子への激励の言葉を記していた。実際のところ、MRI捜査を利用しようと、本当の意味で死者の言葉を代弁することはできないのかもしれない。

 それでも、青木は亡くなった鈴木の脳をMRI映像によって見た。それは同時に、鈴木の目を通して、貝沼の脳を覗きみることを意味していた。

 青木の行動の真意は、薪がひとりで抱える、あまりにも重すぎる”秘密”を分かち合うことにあったのだろう。たとえ気が狂ってしまうほど狂気に包まれた映像だろうと、ひとりですべての十字架を背負おうとする薪を、第九の一員として支えるために。

 それにしても、MRI捜査によって判明した生き残りの少年を救うために、青木が独断でヘリコプターの操縦を行った無茶っぷりには驚かされる。岡部の心からの叫びはもちろんのこと、あの薪でさえ一瞬、取り乱していたことからも、青木がどれだけとんでもない行動に打って出たのか伝わってきた。

 これから薪と並んで歩くためにも、彼らが唯一無二のバディとなって、同じ”秘密”を抱えながら事件に立ち向かう勇姿を見たい。鈴木の代わりとしてではなく、第九の捜査員・青木一行として。

(文・ばやし)

【関連記事】
【写真】板垣李光人の演技が上手すぎる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『秘密~THE TOP SECRET』劇中カット一覧
ドラマ『秘密』第2話考察&感想レビュー。中島裕翔”鈴木”の退場に呆然…もっとも”愛されキャラ”になりそうなのは?【ネタバレ】
ドラマ『秘密』第1話考察&感想レビュー。初回から重すぎる…板垣李光人&中島裕翔の相性が突出しているワケ

【了】

1 2 3
error: Content is protected !!