『119 エマージェンシーコール』第5話考察&感想。佐藤浩市の言葉がしみる…「119番の適正な利用」を真剣に考えるワケ【ネタバレ】
text by 西本沙織
清野菜名主演の月9ドラマ『119 エマージェンシーコール』(フジテレビ系)が現在放送中。本作は、消防局の通信指令センターを舞台に、消防車の出動を指令する指令管制員(ディスパッチャー)のリアルを描く。今回は、第5話のレビューをお届け。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:西本沙織】
1992年生まれ、広島在住のライター。会社員として働くかたわら、Web媒体でエンタメに関するコラムやレビュー記事の執筆を行っている。ドラマや映画、マンガなどのエンタメが好き。
指令管制員たちの痛切な思い
「今日も一日 何事もありませんように」
「100回出場して100回無駄だったとしても 101回目も出場させるしかない 誰かの無事に勝るものなんてないんだから」
3係係長・高千穂一葉(中村ゆり)のこのセリフには、指令管制員たちの切なる思いがぎゅっと込められていたように思う。『119エマージェンシーコール』第5話では、何度だってその“声”を信じ続ける、指令管制員たちの熱き葛藤が描かれた。
冒頭では、「耳が痛い」など、おおよそ緊急性が低いであろう通報が続く。また、SNSでは、救急車を必要なく出動させたという投稿も…。
だが、指令管制員たちが思うままに、軽傷であると判断するわけにもいかない。仮に決めつけて救急車を出さなかったとして、何かあったときに犠牲になるのは誰かの命。だから、救える命があるのならば、たとえ間違いであろうと、いたずらであろうと、なんであろうと、救急車を出動させることを指令管制員たちは選ぶのだ。
しかし、ドラマのなかで与呉心之介(一ノ瀬颯)が嘆いたように、指令管制員たちの痛切な思いは、一部の人々には伝わっていない。本作では、今回の第5話に限らず、119番の適切な利用の大切さに気づかせてくれる描写が、各エピソードに散りばめられている。
少しでも多くの人の目に止まり、抑止や注意喚起になれば、きっとそれはまわりまわって誰かの命を救うことになるのではないだろうか。そうなってほしいと、願わずにはいられない。