俳優としてのモットー
―――『約束 〜16年目の真実〜』(日本テレビ系、2024)では新鮮に感じられた刑事役も本作で馴染んできた感覚はありますか?
中村「これまで私の中で刑事役に対するイメージが勝手にありました。今回の現場では、お芝居の癖も含めて自然に導いていただきました。昨年日本テレビ系で放送された『約束 〜16年目の真実〜』で演じた刑事役とはまた違うアプローチが求められたこともあり、新鮮な気持ちで取り組むことができました。」
―――捜査に余念がない堂本翠は、事件現場などの空間を眼差す視線の強さが印象的です。中村さんは、細やかな役作りの過程でどんなことを足がかりにしますか?
中村「監督たちは脚本もされているので作品のイメージが明確で、描かれた世界観について質問するとダイレクトに返ってくることが役作りのスムーズな入り口になりました。歩き方や話し方を組み立てながらナチュラルに演じることができました。監督やプロデューサーとお互いの意見を尊重して同じ方向を向いて、堂本翠という難しい役柄を一緒に作り上げた感覚が強いです。
私自身、積極的な意志を持って参加させていただけたことで、いただいたアドバイスを自分の中でしっかり消化しながら、一つひとつのシーンを丁寧に作ることができました。現場で意見を交わし、コミュニケーションを重ねていくことの大切さを改めて実感しました。」
―――中村さんは役に自分を寄せるのか、それとも役を自分の側に持ってくるのか、どちらのタイプですか?
中村「変装や特殊メイクで姿をがらりと変えない限り、演じる役には少なからず自分の要素が注がれると思います。役のイメージを事前にキッチリ固めるというより、現場で空気感を掴んでいくタイプかもしれません。現場に入る前の準備段階として最初にできることと言えば、髪型やメイクに関することです。また、衣装から役づくりのヒントをもらうことも多いです。必ずそれを着ている意味があるので」
―――俳優として変わらずに持っているモットーはありますか?
中村「目の前のことを真っ直ぐに積み重ねること。その上で、現場の方々とコミュニケーションを深めると作品がより良いものになります。相手のことを知るためには話してみないと分かりませんよね。ちょっと勇気が必要な時もありますが、踏み込んで距離を縮めながら、自分の意見も相手の意見も尊重できる心がけが重要だと、年齢を重ねて実感する機会が増えました。
一方で、お仕事だけの山を登ってきた人生から、少し視野を広げて、“お仕事をしていない時の自分”も大切にしたいと考えるようになりました。そのメリハリがあることで、改めてお芝居というものが好きになれる気がしています」
(取材・文:加賀谷健)
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