“未来”に希望を抱くことこそが、何よりも大事
もちろん、病気にならなかったら、もっと幸せな未来が待っていたのかもしれない。でも、そしたら薬膳と出会うこともなかった。そう考えると、さとこの人生は失ったものばかりではないことに気付かされる。なってしまったものは、仕方がない。
「もしも、あのとき…」と後悔したって、現実が変わるわけではない。それなら、最後に「あのときがあったからこその“今”だ」と思える人生にすればいい。そのための努力をしていけばいいのだ。そしたら、すべての苦しみに感謝できるようになるかもしれない。
薬膳に出会う前のさとこは、膠原病は一生付き合っていかなければいけない病気だから…と、どこか諦めモードに入っていたように思う。でも、薬膳に出会ってから、前を向き始めた。
気持ちが落ちると身体が痛んで、身体が辛いと気持ちが落ちる。病気になって、心と身体がつながっていることを知ったのなら、どちらのケアも怠らないようにすればいい。
また、鈴は「果報は寝て待てって言うでしょ? だから、運が巡ってくるときのために、少しでも元気になっていないとね」とも言っていた。たしかに、“現在”のさとこは体力もないし思うように動けない。
でも、いつかまた運が巡ってくるときが来るかもしれない。その日のために、少しでも元気になっておく。そんなふうに、“未来”に希望を抱くことこそが、何よりも大事なことなのかもしれないな…と思った。