大河ドラマ『べらぼう』第15話考察。安田顕”平賀源内”の様子がおかしい…恩人たちの暗い影に”蔦重”への影響は?【ネタバレ】
横浜流星主演の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合)が現在放送中。貸本屋からはじまり「江戸のメディア王」にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く。今回は、第15話の物語を振り返るレビューをお届けする。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
『べらぼう』第15回は、蔦重(横浜流星)の恩師たちに暗い影が忍び寄る…。
トントン、グツグツと誰かが朝食の準備をする音を聞きながら幸せに眠る蔦重(横浜流星)。台所に立っているのは、吉原を去ったはずの瀬川(小芝風花)だった。瀬川はなかなか布団から起きてこない蔦重を「いつまで寝てんだい!店開けるよ!」と起こす。そんな幸せな夢を見ていた蔦重は目が覚めて、瀬川のいない現実を思い知らされるのだった。
安永8年。吉原で独立し、五十間道に自分の店『耕書堂』を構えた蔦重だが、瀬川と別れてから抜け殻のような状態となっていた。そんな蔦重を励ましてくれたのは、本で繋がった仲間たちだ。
ある日、朋誠堂喜三二こと平沢(尾美としのり)が『耕書堂』から青本を出したいと言い出す。地本問屋の仲間うちに認められていない蔦重の本は市中では売れない決まりになっているが、平沢にとっては売れる売れないより、楽しいかどうかの方が大事だった。
「誰とやるのが一番楽しいかって言われたら、お前さんなんだよ!」という平沢の言葉が傷ついた蔦重の心に沁み入る。絵師・北尾政演(古川雄大)も蔦重のためなら、いつでも依頼を受ける気満々だ。どちらも目的は吉原遊びかもしれないが、瀬川ロスに陥っている視聴者としても今は彼らの賑やかさがありがたい。
さらには遊郭の体制にも嬉しい変化が。公に「四民の外」とされた吉原に対する世間の見方を変えたいなら、自分たちも変わらなくちゃいけないという蔦重の言葉に心を動かされた駿河屋(高橋克実)の働きかけにより、引手茶屋や女郎屋の主人たちが吉原のあり方について議論を交わし始めていた。
一部の女芸者が不本意に体を売らされている現実を心苦しく思っていたりつ(安達祐実)は女郎屋を廃業し、芸者を管理する見番に転身することを決意。丁子屋(島英臣)からは、病にかかった女郎を粗悪な行灯部屋に放り込むのではなく、女郎屋の寮でしっかり療養させてはどうかという意見も飛び出す。
瀬川がいたら、きっと蔦重と一緒に喜んだことだろう。けれど、瀬川があのまま吉原に留まり、蔦重の本屋を手伝っていたら、果たしてこんな光景は見れただろうか。駿河屋はきっと瀬川が吉原を去った理由に薄々気づいている。