平賀源内(安田顕)の様子がおかしい?
2人目は平賀源内(安田顕)だ。何にも縛られず、心のままに生き、常識にとらわれないアイデアで社会を変えてきた源内。蔦重は何かに行き詰まった時に必ず源内のもとを訪れ、その度に問題解決のヒントを与えられてきた。辛い現実に耐え得る本の力を教えてくれたのも源内だ。ところが、そんな源内の様子がこのところおかしい。
自分のところで雇っていた弥七(片桐仁)にエレキテルの図面を盗まれた挙句、その模造品の性能が悪く、本物のエレキテルまで効果を疑われるようになったことで源内はピリピリしていた。そもそもエレキテルは、摩擦を利用して静電気を発生させる装置のこと。その静電気で体に刺激を与えると悪い気が外に出て、万病に効くという触れ込みで、源内はエレキテルを売っていた。
しかし、肩こりや腰痛くらいなら治ったかもしれないが、全ての病気が治るはずはない。それをどこかで源内も分かっているのではないだろうか。だが、今まで自分をもてはやしてきた人たちが急に手のひらを返し、インチキだ嘘つきだのと罵ってくる状況の中で源内の心は少しずつ壊れ始めているのかもしれない。
そんな源内が起死回生のチャンスを見出したのが、蝦夷地だ。源内はまだ金が採れる可能性のある蝦夷地開拓を田沼意次(渡辺謙)に進言する。ところが、意次はそれどころではなかった。
というのも、江戸城では徳川家治(眞島秀和)の嫡男・家基(奥智哉)が急逝。かねてより家基と折り合いが悪かった意次は毒殺の疑いをかけられていたのだ。そこで意次は蝦夷地開拓の話を進める条件として、意次に家基が亡くなった原因の特定を依頼する。
皮肉にも対立する意次のおかげで次期将軍としての意識が芽生えた矢先、鷹狩りの途中で突如息を引き取った家基。源内による調査の結果調べた結果、家基の爪を噛む癖を利用し、誰かが手袋に毒を仕込んでいたことが判明する。その手袋は家基への贈り物用として高岳(冨永愛)に依頼され、意次が職人に作らせたものだった。