一連の事件を謀った犯人は?

『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第15話 ©NHK
『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第15話 ©NHK

 考え方や目の付け所が異なる2人だからこそ、手を組めば盤石。明るい未来が見えた矢先、寝所に潜り込んだ何者かに毒殺されたとみられる武元の姿が映し出される。

 本当ならば、明日にでも家治や知保の方(高梨臨)に自分の無実を証言してくれるはずだった武元を失ってしまった意次。なおかつ2人が和解したことを、意次の味方となる人以外は知らない。家基、武元が立て続けに不審死を遂げ、いよいよ人々の疑いの目は意次に向けられることだろう。

 問題はこの一連の事件を誰が謀ったかだ。何よりも怪しいのは、不敵な笑みを浮かべる一橋治済(生田斗真)。森下佳子が手がけたNHKドラマ10『大奥』(2023)で己の目的のために次々と周りの人間を毒殺する“怪物”として描かれていた治済だが、本作でもその節がみられる。

 治済は自身の息子・豊千代を次期将軍にするために、家基を殺害し、その真相にたどり着きそうな武元を殺し、全ての罪を意次に擦りつけようとしているのかもしれない。

 意次もまた蔦重にとっての恩師だ。これまで蔦重が吉原のために奔走してきたのは、「人を呼ぶ工夫が足りぬのではないか?」という意次の指摘があったからこそ。時代を変え、蔦重にも多大な影響を与えてきた3人の転落。そのことによる変化は蔦重の人生に何をもたらすのだろうか。

(文・苫とり子)

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【了】

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