満たされない気持ちを抱えるあやめ(麻生久美子)
あやめは、将来を嘱望される優秀な弁護士だ。上昇志向が強く、ライバルのほとんどが男性という競争社会の中で孤軍奮闘している。
だが、自身が担当していた大手ゼネコンの訴訟案件は先輩弁護士の今野昴(大倉孝二)に横入りされ、「先方も男性の方が安心」という理由で代表の井村讃一郎(宮崎吐夢)から手を引くように諭されるあやめ。今野とはかつて体の関係を持ったことから未だにセクハラまがいの行為を受けており、女性ゆえの生きづらさも抱えているようだ。
だからといって、全面的に女性の味方というわけでもない。政界進出が噂される陽子に擦り寄るため、彼女の夫で自身の恩師でもある大学教授・名田奥太郎(佐野史郎)からのセクハラを訴えた女生徒を巧みに黙らせるなど、正しさより利益を優先するところも。
しかし、どこか空回りしている節もあり、陽子に自分を押し売りして、「あなたはもっと分別のある人だと思ってた」と失望される。
とはいえ、社会的地位も経済力も美貌も持ち合わせており、傍から見ると成功者に思えるが、あやめ自身はどこか空虚で満たされない気持ちを抱えているのかもしれない。そんな彼女の心の隙間に入り込むのが、既婚者で且つ危険な香りを放つ凍也だ。