塩野瑛久演じる凍也の魔性っぷり
本作最大の見どころは何と言っても、塩野瑛久演じる凍也の魔性っぷりだろう。塩野の、ともすれば冷たい印象を与えかねないほどの見目麗しさが最大限生かされている役柄だ。
一方で、『HiGH&LOW』シリーズでは“殺し屋軍団”こと鳳仙学園の四天王の一人で頭脳派の小田島有剣を怪しげに、NHK大河ドラマ『光る君へ』(2024)では天皇としての役目と愛する人への思いとの間で絶えず揺れる一条天皇を繊細に、カンテレドラマ『ぼくの人格シェアハウス』では脳内に3人の人格を抱えた主人公役でコミカルに演じるなど、演技の幅が広い塩野。
特に直近では、同じくテレビ朝日のドラマ『無能の鷹』(2024)で弱々しくて頼りない新入社員に完璧に扮していたため、ギャップに驚いた人も多いのではないだろうか。
夜に見る凍也はダークなオーラを纏っており、ゾクッとするような恐ろしさもありつつ、魅惑で心を絡め取られそうになる。しかし、昼間は印象がガラッと変化し、第一印象で感じた近寄りがたさはない。白シャツで犬と笑顔で戯れる姿は無垢そのもので、庇護欲さえも駆り立てるのだ。
だから、夏音へのDVの疑いや名田を殺害した可能性が浮上しても、どこかで「凍也はやっていないんじゃないだろうか」「何か裏があるのでは?」と彼を信じたい気持ちにさせられる。それくらい初回から凍也の魅力に振り回されっぱなしだった。