白石麻衣”高倉”の笑顔が可愛い…ゲスト俳優の絶妙な「悪人」演技とは?『最後の鑑定人』第3話考察&感想レビュー【ネタバレ】

text by まっつ

藤木直人主演のドラマ『最後の鑑定人』(フジテレビ系)がスタートした。藤木演じる敏腕鑑定人が、白石麻衣演じるウソを見抜くのが得意な研究員とともに、科学的アプローチを駆使して難事件の真相を暴いく本格サイエンス×ミステリー。今回は第3話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

——————————

科学が暴いた“言葉なき思いやり“

『最後の鑑定人』第3話 ©フジテレビ
『最後の鑑定人』第3話 ©フジテレビ

 ドラマ『最後の鑑定人』第3話は、科学捜査という冷徹なプロセスが、逆説的に人間の内面をあぶり出す――そんな痛烈な“残酷さ“と”優しさ“を同時に浮き彫りにしたエピソードであった。

 今回、土門誠(藤木直人)と高倉柊子(白石麻衣)のもとに持ち込まれたのは、ベトナムからの技能実習生ホアン・ヴァン・ギア(井阪郁巳)による放火事件。共同住宅を燃やしたのは自分だと語り、警察に自首した。

 しかし、動機については一貫して沈黙を貫く。明白な証拠に裏打ちされた自供ながら、なぜ彼は語らないのか。その「黙秘」の意味が、本話の核心となる。

 科学鑑定を信条とする土門は、燃焼残渣(ねんしょうざんさ・※燃え残ったモノの分析)や再燃の痕跡など、確かな物証に基づいて真実を追う。やがて、火災は二度発生していたことが判明するものの、なぜ二度火を放つ必要があったのか、その理由にはまだたどり着けない。

真相を語るのは高倉(白石麻衣)

『最後の鑑定人』第3話 ©フジテレビ
『最後の鑑定人』第3話 ©フジテレビ

 事件の真相――違法薬物「大麻ワックス」の製造現場の隠蔽――にたどり着くのは、なんの変哲もない高倉との日常会話の中であった。合理性を重んじる土門が、非合理な“雑談“からヒントを得るという流れには、捜査と人間性の交差点が垣間見える。

 最終的に、法廷で真相を語るのは土門ではなく、過去に大切な友人の声を聞ききれなかった後悔を抱えている高倉。彼女はホアンの沈黙が、違法薬物の罪をかぶってまで弟・ミンを守ろうとした兄としての“静かな覚悟“であることを明かす。

 だが、これは同時にホアンの思いやりを打ち砕く行為でもある。彼の覚悟を踏みにじってしまったのではないかと、高倉は自らの行動に疑問を抱く。

 しかし、その後にミンから届いた「兄一人に背負わせるより、ずっとよかった」という手紙に、彼女の表情はわずかにほころぶ。救われたのは兄だけではなく、自らもまた、その一言で救われたのである。

次回、土門(藤木直人)の過去が明らかに――。

『最後の鑑定人』第3話 ©フジテレビ
『最後の鑑定人』第3話 ©フジテレビ

 土門もまた、鑑定という行為を通して“人”と向き合おうとしている。刑務所に縫製工場を設置したいという提案には、加害者を切り捨てず再出発を支援しようとする“人間味“がにじむ。高倉とのバディとしての関係も、着実に変化をもたらしている。

 また、黒瀬社長役を演じた片桐仁の存在も印象深い。“善人“の仮面をかぶった男の怪しげな雰囲気と断定を避ける絶妙な演技が、最後まで不穏な緊張感を漂わせていた。

 第3話は、技能実習制度や薬物犯罪といった重く複雑な社会問題を扱いながらも、物語に説教臭さを感じさせない。科学と情、正義と救済――そのバランスが見事に保たれ、「沈黙」を軸にした物語は、サスペンスとしてもヒューマンドラマとしても完成度の高い仕上がりとなった。

 次回は、いよいよ土門の過去が描かれる予感が漂う。鑑定依頼を通して、彼が何を背負い、何を見つめてきたのか――その“軌跡“が浮かび上がってくる展開に期待したい。

【著者プロフィール:まっつ】

1993年、東京生まれ東京育ち。本職はスポーツウェブメディアの編集者だが、エンタメ・お笑いライターとして修行中。1週間に20本以上のラジオを聴く、生粋の深夜ラジオ好き。今一番聴くべきラジオは『霜降り明星のオールナイトニッポン』。好きなドラマは『アンナチュラル』、『いちばんすきな花』、『アンメット』。

【関連記事】
【写真】白石麻衣が大活躍…貴重な劇中カットはこちら。ドラマ『最後の鑑定人』第3話劇中カット一覧
まさかの『科捜研の女』ネタにニヤリ…藤木直人“土門”に必要なものとは? ドラマ『最後の鑑定人』第2話考察&感想レビュー【ネタバレ】
初回の評価は? 藤木直人×白石麻衣コンビの化学反応に期待のワケ。ドラマ『最後の鑑定人』第1話考察&感想レビュー【ネタバレ】

【了】

error: Content is protected !!