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花岡は、散り際まで美しかった

中川大志
中川大志Getty Images

大抵の“当て馬キャラ”というのは、中盤あたりでヒール役を買って出ることがある。ヒロインが恋する相手に、「そんなんだったら、俺が奪っちゃうけど?」とカマをかけたり、「俺にしとけよ」と優しく抱きしめて、ヒロインを困らせたり。

でも、花岡は最後まで乱れなかった。侑里とテオ(チェ・ジョンヒョプ)の恋がうまくいっていないことを知ったときも、「ごめんな、俺のせいだよな。俺はただ二人にうまくいってほしいだけなんだ」とつぶやく。チャンスだなんて思わない。こんなに美しい当て馬は、そういないだろう。

そして、散り際まで美しいのが花岡のすごさ。侑里をテオのところに行かせるために、「もし(ジャンケンで)俺が勝ったら、本宮は霧多府岬に行く」と勝負を挑み、侑里が目を閉じてパーを出したのを見て、チョキを出す。

今まで負けてきてあげたのに、この状況でわざと勝つのが花岡の美しさであり、切ないところ。こういう優しさを持った人だから、わたしたちは彼の恋を応援したくなったのだと思う。

およそ10年にもおよぶ片想いに終止符を打った花岡。これから、彼はどんな人と出会い、恋をするのだろう。花岡の分かりづらい優しさに、気づいてくれる人だったらいいなと思った。今度は負けてあげるだけじゃなくて、お互いに、平等に優しさを与え合える人と出会えたらいい。

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