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“共感できないキャラ”がどんどん魅力的に…ヒールを描く天才・生方美久の手腕に期待がかかるワケ。『海のはじまり』第1話考察

text by 菜本かな

目黒蓮主演の月9ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)は、名作『silent』の制作チームが再集結し、“親子の愛”をテーマにした完全オリジナル作品だ。人と人との間に生まれる愛と、そして家族の物語を丁寧に描く本作の第1話の考察レビューをお届けする。(文・菜本かな)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:菜本かな】

メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

『silent』とは異なる目黒蓮の演技と生方美久のマジック

『海のはじまり』第1話より ©フジテレビ
『海のはじまり』第1話より ©フジテレビ

 スピッツの楽曲、イヤホン、そして“好きな人”のせいにする別れの告げ方…。目黒蓮主演ドラマ『海のはじまり』は、初回から『silent』(フジテレビ系、2022)のエッセンスが色濃く出ていた。

『silent』では、急に姿を消す側の役回りを担当していた目黒蓮が、今度は急に姿を消される側に。同じ“喪失”を描いた物語でも、まったく異なる目黒の表情を堪能することができる。

 8年も会っていなかった元恋人が亡くなり、葬式に参列するとそこには7歳になる女の子がいて、「あなたの娘だ」と言われる…なんて、少し現実感がないシチュエーションだが、脚本家・生方美久のマジックにかかると一気にリアリティを増し、自分ごととして捉えられるようになるから不思議だ。

 知らないところで娘が生まれていて、ゆっくりと父親になっていく…という設定は、『マイガール』(テレビ朝日系、2009)と被る部分もあるが、大きく異なるのは、主人公の夏(目黒蓮)に3年間も付き合っている恋人・弥生(有村架純)がいること。

 そして、夏は中絶同意書にサインを書いているので、水季(古川琴音)が自分との子どもを宿していたことを知らないわけではない(しかし、中絶したと思っていた)。さらに、水季が娘の海(泉谷星奈)に、夏がパパであることを教え込んでいたこともあり、一筋縄ではいかない展開になりそうだ。

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