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賛否両論…篠原涼子の“誇張した芝居”がドラマに必要不可欠な理由とは? 『イップス』第3話考察&感想レビュー

text by 釣木文恵

篠原涼子&バカリズムがW主演のドラマ『イップス』(フジテレビ系)が放送中。“書けなくなった”ミステリー小説家と“解けなくなった”刑事の二人が、事件を解決するミステリーコメディー。今回は、二世議員が秘書を殺してしまう第3話のレビューをお届けする。(文・釣木文恵)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:釣木文恵】

ライター。演劇、お笑いなどのインタビュー、ドラマのレビューを執筆。主な媒体に『TV Bros.』、『Quick Japan』、『GINZA WEB』、『ぴあ』等。

現場のミコとスマホの中の森野

『イップス』第1話より ©フジテレビ
イップス第1話より ©フジテレビ

ミステリー作家でありながら、「脳の緊張状態が引き起こす心理的症状で、今までできていたことが突然できなくなってしまう状態」=イップスのため5年間新作が書けていない黒羽ミコ(篠原涼子)。

警視庁捜査一課で圧倒的な検挙率を誇るエリート刑事ながら、事件に対して体が拒否反応を起こしすようになってしまった森野徹(バカリズム)。1、2話と、ともにイップスから逃げた先で出会っていた二人。しかし今回は、森野が担当する現場にミコが密着取材と称して同行するかたちだ。

衆議院議員であった父が亡くなり、その地盤を引き継いで都議会議員となった尾花健一郎(塚本高史)。爽やかなルックスながら中身のない発言ばかりのため、お花畑的なコメントという意味を込めて「フラワー健一郎」と揶揄されている。そんな健一郎は、自分を軽んじ、「あなたの武器はルックスとかわいげと二世議員であることだけですから」と言い放つ父の代からの第一秘書・万作(平田満)を衝動的に殺してしまう。

森野とミコは事件現場で健一郎や第二秘書・村井(渡辺佑太朗)らに聞き込みを重ねる。ミコは、ワイドショーでコメンテーターを務めているときにも見られるプロファイリング能力と、文章の不自然さに着目する作家ならではの視点で、事件のあやしい点をあぶり出す。

途中までは順調に捜査を続けていた二人。しかし、健一郎による「僕のこと疑ってるんですか」の言葉がトリガーになって、森野は現場から逃げ出してしまう。ミコはスマホのメッセージを通じて森野とやりとりをしながら、ひとりで捜査を続ける。

スマホ上でのやりとりを表現する、アイコンが散りばめられた白い空間での会話。1話からあったこのシーンの重要性が、3話になって伝わってきた。

逃げ出してしまった森野と、現場のミコをつなぐ場所。行動力と洞察力はありつつも経験は圧倒的に足りないミコを、ミコからの情報をつなぎ合わせてサポートする森野。逃げたあとの森野が、ある意味安楽椅子探偵的なポジションに移行することができるのだ。

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