ラモーナの目に映ったハルの第一印象
―――ラモーナは目黒蓮さんが演じるハルとのシーンが多かったと思いますが、彼女の目にハルはどのように映っていましたか?
「ハルのようなタイプの人は、カジノ王のウルフにめちゃくちゃ擦り寄ってくると思うんですよ。だからハルが来たとき、ラモーナは『またウルフの懐に入ろうとする奴が来たな』くらいにしか思っていなかったのではないかと。でもハルが予想の斜め上を行くようなアプローチを仕掛けてきたので、今までウルフに擦り寄ってきた人たちとは違うと感じたと思います」
―――ちょっと一目置くような感じに変化していったのですね。目黒さんとは初共演ですが、一緒にお芝居をしていかがでしたか?
「撮影以外では、とても静かな方でした。でもハルになるとガラリと変わるんです。ゴムをジリジリと引っ張って、ある地点で手を離すとパーンと一直線に飛んでいくじゃないですか。あんな感じです。静かにじっくりと準備を整えて、本番で弾けるタイプなのではないでしょうか」
―――撮影合間に話をしたりしませんでしたか?
「私はカードの練習を繰り返していましたし、目黒さんはコインを手で弄ぶような仕草を練習していたので。コインも技術が必要らしく、撮影合間はふたりとも黙々とカードとコインの練習をしました(笑)。
目黒さんとのシーンで印象深いのは、ハルとラモーナがカードを港でやるシーンですね。実はこのシーンがクランクインだったのですが、とにかく寒い日だったんです。こんなに寒いと思わず、防寒もあまりしていなかったので凍るかと思いました。カメラチェンジの時間は目黒さんも私も寒すぎて無言(笑)。『こんな感じで撮影は進んでいくのかしら』と、ちょっとだけ絶望感を抱きました(笑)」
―――ラモーナのボスのウルフ・リーを演じる石橋凌さんはミュージシャンでもあります。ミュージシャンであり俳優でもあるところはシシドさんも一緒ですが、石橋さんとの共演はいかがでしたか?
「石橋さんのあの声にはしびれました。セリフの間、英語の発音、全てがカッコよかったです。この世界の大先輩ですから、共演は光栄でしたし、音楽、映画など多岐にわたってたくさんお話しができました。また共通の知り合いのミュージシャンもいたので、その方の近況を語り合ったり…。私はわからないことがあると、すぐ人に聞くのですが、石橋さんはやさしく教えてくださって、うれしかったです」
―――ラモーナは魅力的なキャラだったので、続編があったらまた出てきて欲しいと思うのですが、シシドさんはどう思いますか?
「『トリリオンゲーム』にまたカジノが出てきたら、ラモーナが出てくるかもしれませんが、そうでない場合は出てこないのではないでしょうか。ラモーナはディーラーとしてプライドを持っていると思うんですよ。だから彼女自身の才能を花開かせることができる場所、カジノで生きていくんじゃないかと思います」