映画『スーパーマン』マルチレビュー。4人の評者が忖度なしでガチ採点&評価

公開中の話題作を4人の評者が“忖度なし”で採点する新企画「映画チャンネル」マルチレビューがスタート! 今回は、映画『スーパーマン』を徹底レビュー。果たしてその評価は? 点数とあわせて、本作の魅力と課題を多角的に掘り下げる。※評価は5点満点とする。(文・編集部)

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政治色が強すぎた? 明るさの裏に見え隠れする違和感

中川真知子(映画×テクノロジーライター)

【採点評価】3・5点

 明るく楽しいカラフルな娯楽作。犬のクリプトが出るたびに笑いが起こり、見せ場も随所に散りばめられていた。デイビッド・コレンスウェット演じるスーパーマンも原作漫画のイメージに近い。ただ…
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“王道”に投じたジェームズ・ガンの魔球――新章の幕開け

村松健太郎(映画ライター)

【採点評価】4点

 常にメインストリームに対してカウンター的な作品を撮り続けてきたジェームズ・ガンが初めてスーパーマンという“アメコミの始祖(=文字通りの王道)”を撮った。結果として王道としてど真ん中に投げつつも、それは予想もしない変化をする魔球になった…
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群像劇としてのスーパーマン──光った脇役たちと犬の存在感

近藤仁美(クイズ作家)

【採点評価】3点

 この作品は、サブキャラクターも含めた群像劇として観るのがおすすめだ。スーパーマンひとりをメインとするには、もう少々の掘り下げや正義そのものへの疑いがほしくなってしまう…
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細部を描けぬヒーロー映画に世界は託せない

山田剛志(映画チャンネル編集長)

【採点評価】2点

 街ごと吹き飛ばしかねないヴィランの攻撃からスーパーマンが身を挺して守るのは人間のみならず、より小さきものにまで及ぶ。サム・ライミ版『スパイダーマン』も死傷者ゼロを行動指針にしていたが、街に生息する小動物の命にまで想像力は及んでいなかった。にもかかわらず、本作が『キングコング』(1933)以来連綿と続く空想科学映画の「惨劇のイマジネーション」(スーザン・ソンタグ)を刷新するどころか、凡百のスーパーヒーロー映画と大差のない出来栄えに収まっているのは…
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【著者プロフィール 中川真知子】
映画xテクノロジーライター。アメリカにて映画学を学んだのち、ハリウッドのキッズ向けパペットアニメーション制作スタジオにてインターンシップを経験。帰国後は字幕制作会社で字幕編集や、アニメーションスタジオで3D制作進行に従事し、オーストラリアのVFXスタジオ「Animal Logic」にてプロダクションアシスタントとして働く。2007年よりライターとして活動開始。「日経クロステック」にて連載「映画×TECH〜映画とテックの交差点〜」、「Japan In-depth」にて連載「中川真知子のシネマ進行」を持つ。「ギズモードジャパン」「リアルサウンド」などに映画関連記事を寄稿。

【著者プロフィール 村松健太郎】
脳梗塞と付き合いも15年目を越えた映画文筆屋。横浜出身。02年ニューシネマワークショップ(NCW)にて映画ビジネスを学び、同年よりチネチッタ㈱に入社し翌春より06年まで番組編成部門のアシスタント。07年から11年までにTOHOシネマズ㈱に勤務。沖縄国際映画祭、東京国際映画祭、PFFぴあフィルムフェスティバル、日本アカデミー賞の民間参加枠で審査員・選考員として参加。現在各種WEB媒体を中心に記事を執筆。

【著者プロフィール 近藤仁美】
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供してきた。国際賞「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『クイズ作家のすごい思考法』『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』などがある。

【了】

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