「政治色が強すぎた? 明るさの裏に見え隠れする違和感」中川真知子(映画×テクノロジーライター)|映画『スーパーマン』マルチレビュー
公開中の話題作を4人の評者が“忖度なし”で採点する新企画「映画チャンネル」マルチレビューがスタート! 今回は、映画『スーパーマン』を徹底レビュー。果たしてその評価は? 点数とあわせて、本作の魅力と課題を多角的に掘り下げる。※評価は5点満点とする。(文・編集部)
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政治色が強すぎた? 明るさの裏に見え隠れする違和感
中川真知子(映画×テクノロジーライター)
【採点評価】3・5点
明るく楽しいカラフルな娯楽作。犬のクリプトが出るたびに笑いが起こり、見せ場も随所に散りばめられていた。デイビッド・コレンスウェット演じるスーパーマンも原作漫画のイメージに近い。ただ、いかんせん政治的メッセージが強い。後半になればなるほど説教くさい。過去のシリーズと比較しても、政治的思想を表現するために『スーパーマン』というIPが利用されたのでは、とすら思えてくる。
本国で賛否両論があるのもそのせいだ。クリプトの天真爛漫さは強まる政治色の緩和剤かと邪推したほどだ。色褪せない原作と素晴らしいアクション、そこにジェームズ・ガンが加われば間違いはないはずだった。どうせなら娯楽にふりきってほしかった。
【著者プロフィール 中川真知子】
映画xテクノロジーライター。アメリカにて映画学を学んだのち、ハリウッドのキッズ向けパペットアニメーション制作スタジオにてインターンシップを経験。帰国後は字幕制作会社で字幕編集や、アニメーションスタジオで3D制作進行に従事し、オーストラリアのVFXスタジオ「Animal Logic」にてプロダクションアシスタントとして働く。2007年よりライターとして活動開始。「日経クロステック」にて連載「映画×TECH〜映画とテックの交差点〜」、「Japan In-depth」にて連載「中川真知子のシネマ進行」を持つ。「ギズモードジャパン」「リアルサウンド」などに映画関連記事を寄稿。
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