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27歳で舌ガンに罹患した女性に密着。映画『ケアを紡いで』命の尊さを教えてくれるドキュメンタリー。忖度なしガチレビュー

text by 寺島武志

映画『ケアを紡いで』が4月1日からポレポレ東中野で公開され、順次全国公開される。27歳という若さで舌ガンを発症した鈴木ゆずなさんの“ありのまま”の姿を映したドキュメンタリー。若年性のガン患者が直面する問題や、命と向き合いながら、葛藤や日々の大切さを“ありのまま”映した本作のレビューをお届けする。(文・寺島武志)

「ありのままを記録してもらえれば…」
「AYA世代」のがん患者の生活に密着

C大宮映像製作所

本作は、27歳の若さで舌がんを患った看護師の鈴木ゆずなさんが、ガンと闘いながらも日々を大切に生きる姿と、彼女を支える周囲の人々の協力を記録したドキュメンタリーだ。

彼女はいわゆる「AYA世代」にあたる。AYA世代とは「Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)」の頭文字を取ったもので、主に、思春期(15歳~)から30歳代までのがん患者を指している。

医療費制度と介護保険に谷間にあたる世代にあたり、経済的な助成制度は皆無に等しく、当面の生活の不安に加え、治療に伴う生殖機能に及ぼす影響や晩期合併症のみならず、人生の進路に及ぼす影響、思春期という多感な時期に病気に罹患することによる精神的ストレス、将来への不安なども、否応なく襲ってくる。

日本におけるAYA世代のがん患者は年間約5000人といわれている。この世代の全人口が約2000万人と仮定すれば、4000人に1人という計算だ。本作は、そのような問題に一石を投じるべく製作された作品である。しかし、彼女自身は特別な存在ではない。恋をし結婚もし、信頼できる友人に囲まれてる一人の若者だ。「ガンである」ということ以外は…。

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