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髙橋栄一監督が明かす映画『ホゾを咬む』誕生の経緯とは?

(c)2023 second cocoon
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この度、公開を前に、脚本・監督・編集の髙橋栄一のオフィシャルインタビューが到着した。

<脚本・監督・編集:髙橋栄一プロフィール>

岐阜県出身。平成2年生まれ。

建築・ファッションを学んだ後に塚本晋也監督作品『葉桜と魔笛』(2010)、『KOTOKO』(2011)に助監督として参加。

監督作品に『華やぎの時間』(2016)京都国際映画祭2016 C・F部門入選、SSFF & ASIA2017 ジャパン部門入選 /ベストアクトレス賞受賞、『眼鏡と空き巣』(2019)SeishoCinemaFes入選、『MARIANDHI』(2020)うえだ城下町映画祭 第18回自主制作映画コンテスト入選、『さらりどろり』(2020)SSFF & ASIA 2021 ネオ・ジャパン部門入選、『鋭いプロポーズ』(2021) 福井駅前短編映画祭2021優秀賞受賞、『言ってくれよ』(2022)つんく♂総監修 中2映画プロジェクト等がある。

最新短編映画『サッドカラー』(2022)がPFFアワード2023に入選するなど、独特の感性が評価されている。

Q. 本作のテーマを思いついたきっかけを教えてください。

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生活のなかで関係を持つ人達について、自分が見ている像とその人の実像のズレみたいなものを日頃から感じていました。そのズレに気づくきっかけが、ASD(自閉症スペクトラム症)のグレーゾーンという診断でした。

それまでは、絶対解みたいなものがあると思っていたけれど、どうやらそれがないということに気がついて、だとすれば日頃から関係を持っている人達ですら、真に理解しあうことはないのだと思いました。

自分に見えている像は永遠にその対象となる人と重ならない、誰ともつながっていない孤独感。この解消されない孤独のなかで人と関係を持つことはどういうことなのかを考えはじめ、それが本作のテーマにつながっていきました。

テーマを深化させていく上で重要な要素となったのは欲動です。(木村知貴演じる主人公の同僚・月見里が話す)「汗と日焼け止めの匂いが混ざったのがたまらない」というのは僕自身がふと夏に感じた欲動でした。

自分の中にいままで知らなかった欲動を発見することは、その対象となる人との新たな関係性を一方的に創造する。欲動は、どうせつながることのない孤独関係の中を生き進む手綱なのではないかと思うのです。

主人公が監視カメラというフィルターをとおして妻を見つめるというこの物語には、孤独と純粋な欲動が根底にあります。これはもしかすると、「愛」なのかもしれないと思うのです。

Q. 主人公のハジメがASDという設定なのかと思って観たら、妻の浮気を疑って監視カメラを買ってしまうなど、ハジメの行動は理解できる行動で、ハジメの客の夫婦などの方がコミュニケーション能力がないというか、変わっていました。彼らは、企画意図にあった、「僕が理解していると思って接していた(周りの人)は、僕が理解も出来ず間違って作り出していたツクリモノで、そのツクリモノしかいない世界で生きていたんだと思わされました。」のツクリモノということなのでしょうか?主人公はASDという設定なんですか?

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特にそういう設定はしていなかったです。登場人物の理解できない部分は何なのかというところで言うと、ハジメ以外は生きていることを楽しんでいるんです。

僕は実生活で楽しいという感覚がよくわからなくて、「楽しんでいる」と言っている人たちが嘘だと感じることがあるんです。

「それが楽しいんだったら、僕も味わいたいし、経験したい」とチャレンジするんですけれど、楽しくはない。ツクリモノの人たち、理解できない世界の人たちという感覚です。「人の気持ちがわからない」とは違うと思っていますけど。

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