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「これじゃ通用しないぞっていう課題や壁が常に欲しい」映画『夢の中』主演・山﨑果倫インタビュー。女優としての抱負を語る

text by 山田剛志

中学生の性の違和感と自己理解の揺らぎを描いた『蝸牛』でMOOSIC LAB 2019短編部門グランプリほか四冠を達成した新鋭・都楳勝監督最新作『夢の中』。今回は、主演を務めた女優の山﨑果倫さんへのインタビューをお届け。監督との出会い、緻密な役づくり、役者としての抱負など、幅広くお話を伺った。(取材・文:山田剛志)

『上映作品の中で一番好きでした』
都楳勝監督の出待ちをして伝えた本気の感想

写真: 宮城夏子
写真 宮城夏子

―――今回の映画、とても興味深く拝見しました。山﨑さん演じるタエコの現実と夢、櫻井圭佑さん演じるショウの現実と夢。4つの世界が混ざり合うような、映画でしか表現できない作品に仕上がっていると思いました。 本作に参加した経緯からお伺いできますでしょうか?

「『夢の中』は、観客の心を揺さぶる作品を制作することをコンセプトにした“感動シネマアワード”という映画コンペティション企画から生まれた作品です。レプロエンタテインメントの所属俳優を数人リストアップして、各々を主演に据えた映画の企画を募集するといった内容でして、そのうちの一人として参加させていただきました」

―――都楳勝監督は「山﨑果倫主演の映画を撮りたい」という思いで企画を提出されたわけですね。

「そうなのですが、実は前日譚がありまして。きっかけは2019年のMOOSIC LAB(ムージック・ラボ)※。当時私はほとんど仕事がなくて、好きな作品、好きな俳優、好きな監督、好きなプロデューサー、とにかく好きと言えるものを模索している時期で。

MOOSIC LABは毎日通って全作品を観たんですけど、その中で最も好きだった作品が都楳監督の短編『蝸牛』だったんです。それで都楳さんの出待ちをして『上映作品の中で一番好きでした』と伝えました」

※2012年にスタートした新進気鋭の映画監督とアーティストのコラボレーションによる映画制作企画を具現化するプロジェクト。

―――すごい行動力ですね。『蝸牛』のどこに惹かれたのでしょうか?

「都楳さんって、周囲からどういう作品を求められているかとか、社会のあり様に合わせるとか、そういう視点が一切なくて。自分の思想や妄想を具現化したいっていう欲望がすごく強い人なんですよ。『蝸牛』にはそれがぎゅっと凝縮されていて、観ていてすごく嬉しくなったんです。

私は他人の目とかすごい気にする人間だったし、今もそういう部分があって。もちろんそれが一概に悪いとは思っていませんが、それを気にしすぎると、自分本来のエネルギーとか、出せる力っていうのが弱まっちゃうのではないかと思っていて。その点、都楳さんの作品は振り切っていて、たくさん勇気をもらったんです」

―――都楳監督も山﨑さんから直接感想を聞いて嬉しかったでしょうね。具体的にどのような言葉をかけたのか覚えていらっしゃいますか?

「『山﨑果倫と申します。あの、すごく好きでした』とだけ伝えてパーって逃げるように帰りました(笑)。後で聞いたところ、『あの子、なんだったんだ』って思うのと同時に、その時の私の目を強く記憶してくれたみたいで。事あるごとに色んな方に『山﨑果倫って子が忘れられないんだよね』とおっしゃってくださっていたようです。

そんなタイミングで、先に申し上げた“感動シネマアワード“が立ち上がり、都楳さんは山﨑果倫主演映画の企画として、以前から温めていた物語を応募してくれたんです」

―――では『夢の中』の構想自体は、都楳監督が山﨑さんと出会う以前からあったのですね。

「何年も温めていたプロットがあったけど、それを撮るには強い目力が必要で、求めている瞳に出会えないと撮れないと思っていたところ、有り難いことに私と出会って作品にできると思ってくださったようです。

とはいえ、撮影の準備を進めていく過程でプロットはどんどん変わっていきました。私と監督がマンツーマンでリハーサルを重ねていく中、あてがきのような形で追加された描写も沢山あって」

―――そうでしたか。例えばどのような描写ですか?

「今回の作品では時間をかけてリハーサルをやったのですが、その中で『家に一人でいる時にどう過ごすか』っていうテーマで即興芝居に取り組む機会がありまして。気持ちが沈んで家に一人でいる時に私が実際にやっているルーティンをやってみせて。

私、呼吸が荒れたり、涙が出たりするとまず鏡を見に行くんですよ。感情がフワフワして『わあー』となっている時、自分と目を合わせることで、ふと地に足が付いた感じがる。また、鏡がなかったらどうするかというと自分の身体に触れて気持ちを落ち着かせる。こういったアクションをリハーサルでしたところ、都楳さんは『それいいね』と」

―――なるほど。今おっしゃったアクションは随所で見られますね。

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