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“全員善人”…映画『アナログ』にみるビートたけしの人生哲学とは? 徹底考察&評価。忖度なしガチレビュー

text by ZAKKY

芸能界の頂点・ビートたけし原作の映画『アナログ』。二宮和也と波瑠を主演に迎え、現代において連絡手段がない恋愛模様を描いた作品。今回のレビューでは、なぜ今「純愛」なのかを、ビートたけしの人生から考察していく。二人の愛だけでなく、母親の愛、友の愛なども徹底解説する。(文・ZAKKY)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

小説家・ビートたけしの作家性

二宮和也
二宮和也Getty Images

今作の原作小説における原作者・ビートたけし氏は、兼ねてから「振り子の理論」といった持論を展開している。

笑いであれば極限まで笑うことができ、暴力であれば極限までバイオレンスを表現する。中途半端は駄目であり。どちらかに振り切った表現ができた者は、真逆の表現もできる。

さらに、「平面的な振り子ではなくて、360度あっちこっち振れて、結果的には水平にぐるぐる回ってしまうぐらいなことをやりたい」との発言も残している。

そして、今作はその理論で言うと、100%「純愛」というベクトルに振り切っているのである。

監督デビュー作である『その男、狂暴につき』、昨今では『アウトレイジ』など、暴力描写が多い作品を数々生んできたというイメージが強い北野武(ビートたけし)が、なぜ、このような小説を描いたのか?

まずは、そこから考察したい。

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