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セカイ系アニメの到達点…新海誠との比較にみる「長所」と「欠点」とは? 映画『アリスとテレスのまぼろし工場』徹底考察&評価

text by 司馬 宙

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(2011)を代表とした「秩父三部作」など、数々のアニメ―ション傑作を生み出してきた脚本家、岡田麿里。そんな彼女が放つ最新作が、この『アリスとテレスのまぼろし工場』だ。今回は、アニメファン待望の俊英の最新作を忖度なしでご紹介する。(文・司馬 宙)【あらすじ 考察 解説 評価】

監督を務めたのはアニメ界の俊英・岡田麿里

映画『アリスとテレスのまぼろし工場』9月15日(金)全国公開 (c)新見伏製鐵保存会 配給:ワーナー・ブラザース映画 MAPPA
c新見伏製鐵保存会

まずは、岡田のこれまでの代表作を簡単におさらいしておこう。

はじめに、岡田の名を世界に知らしめた『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』(通称『あの花』)だ。2011年にフジテレビ系列で放送され、2013年には劇場版が公開された本作は、死んだ幼馴染が幽霊となって目の前に現れるという描写から人間の成長や絆を描き、“泣けるアニメ”として大きな話題を呼んだ。特に、舞台となった埼玉県・秩父市への聖地巡礼が大きなブームとなったことは記憶に新しい。

また、脚本を担当した『心が叫びたがっているんだ。』(2015年、通称『ここさけ』)では、何気ない一言で家族の離婚を招いてしまったことから、おしゃべりを自ら封印してしまった少女を描出し、大ヒットを記録。

そして初監督作品である『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018年、通称『さよ朝』)では、10代で成長が止まる不老長寿の少女と、歳月を重ねて大人へと成長していく少年の出会いと別れを描き、海外でも高い評価を得た。

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