前半と後半で見え方が変わる? 『地面師たち』を超えたドラマ史に残る名シーンとは? Netflix『極悪女王』考察レビュー
Netflixで独占配信中のドラマ『極悪女王』。女子プロレスブームを巻き起こした80年代、悪役レスラーとして名を馳せたダンプ松本を、ゆりやんレトリィバァが演じる。今回は、「極悪女王旋風」最大の立役者となったゆりやんに焦点を向け、彼女の魅力を徹底解説する。(文・かんそう)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:かんそう】
2014年から、はてなブログにてカルチャーブログ「kansou」を運営。記事数は1000超、累計5000万アクセス。読者登録数は全はてなブログ内で6位の多さを誇る。クイック・ジャパン ウェブ、リアルサウンド テックなどの媒体でライター活動を行うほか、TBSラジオで初の冠番組『かんそうの感想フリースタイル』のパーソナリティも務め、2024年5月に初書籍『書けないんじゃない、考えてないだけ。』を出版した。
「極悪女王旋風」の立役者・ゆりやんレトリィバァ
Netflixドラマ『極悪女王』の勢いが止まらない。配信直後からNetflixのランキングでは当然の如く1位を独占。ネットのドラマファン、プロレスファンだけでなく、普段は推しの男性アイドルの話しかしないフォロワーからも「極悪女王面白すぎる」のポストが投稿されるなどその広がりは凄まじいものがあった。
ネットどころかリアルでも、普段は全くドラマを見ない友人に『極悪女王』を勧めたところ「久しぶりに日本のドラマ見たけどハマりすぎて極悪女王のことしか考えられない。具合悪い」とのLINEが送られてくるなど、異常事態となっている。
そんな極悪女王旋風の最大の立役者はなんと言っても松本香ことダンプ松本を演じたお笑い芸人・ゆりやんレトリィバァだろう。
ゆりやんレトリィバァと言えば、NSCを首席で卒業したデビュー直後から、その独特すぎるネタのセンスがお笑いファンの間で話題になり、2017年に「第47回NHK上方漫才コンテスト」で優勝し、同年「女芸人No.1決定戦THE W」の王者に輝いた、2019年にはアメリカのオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」に出場し、さらに2021年の「R-1グランプリ」でも女性ピン芸人として史上2人目の王者に輝くなど、まさに疾風怒濤の勢いでお笑い界を席巻している、まさに天才だ。
しかし、そのあまりに個性的すぎるキャラクター性から配信前は「いや、ゆりやんが主役とか大丈夫か?」との声が散見されていたが、蓋を開けてみればここまでの「ハマり役」は存在しなかった。