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選挙取材に人生を賭けた男の一大奮闘記。映画『NO 選挙,NO LIFE』レビュー。選挙の裏側に迫ったドキュメンタリー

text by 寺島武志

選挙の面白さを伝えるべく、候補者に取材をし続け、25年間フリーランスライターとして活動する畠山理仁50歳の姿を捉えたドキュメンタリー映画『NO 選挙,NO LIFE』が公開中だ。今回は本作の見どころに迫るレビューをお届けする。(文・寺島武志)【あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー】

“選挙に魅せられた男”の一大奮闘記

(C)ネツゲン
Cネツゲン

まずはこのレビューを目にした方々に問いたい。

「あなたは選挙に行っていますか?」

この映画を見た、あるいは興味を示した方であれば、「行っています」と答えるだろう。

では、さらに問う。

「岸田内閣の支持率が20%台の“危険水域”にまで落ち込み、不支持が7割を超えているにも関わらず、自公政権が盤石なのは何故だと思いますか?」

複雑で多様な原因があることは承知の上で、あえて1つの答えを導くとここに行き着く。「あなたの周囲の人々が、選挙に行っていない」からだ。

事実、投票率は国政選挙でも50%程度、地方議員の選挙ともなると20%がやっとというのが、この国の参政意識の現実なのだ。そんな選挙という“一大イベント”に魅せられ、早稲田大学を除籍になりながらも、選挙取材に人生を賭けた男がいる。

選挙取材歴は実に25年。50歳を迎えたフリーランスライター・畠山理仁がその男だ。2017年には、著書『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』では「開高健ノンフィクション賞」も受賞している。

本作は、彼の選挙への情熱と、お金にならないこの仕事の辞め時を失ってしまった苦悩に迫るドキュメンタリーだ。

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