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”美女と野獣”を基にした理由は? なぜ物語が酷評されているのか? 映画『竜とそばかすの姫』考察。珠玉の主題歌と舞台も解説

text by 編集部

写真:getty images

竜とそばかすの姫

3.5
原題:
製作年:
2021年(日本)
監督:
細田守
脚本:
細田守
撮影:
李周美, 上遠野学, 町田哲
音楽:
岩崎太整, Ludvig Forssell, 坂東祐大
配給:
東宝
上映時間:
121分
出演:
中村佳穂, 成田凌, 佐藤健, 染谷将太, 玉城ティナ, 幾田りら, 森川智之, 役所広司, 石黒賢

日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞
日本アカデミー賞最優秀音楽賞

演出:
16点
脚本:
10点
配役:
16点
映像:
17点
音響:
16点

『おおかみこどもの雨と雪』(2012)などで知られる日本アニメ界の巨匠、細田守。そんな細田の集大成となる『竜とそばかすの姫』は、興行収入66億円の大ヒットを記録し、国内外で絶賛を受けた。今回は、そんな本作の魅力を演出・脚本・配役・映像・音楽の5つの視点から解き明かす。<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>

『竜とそばかすの姫』あらすじ

監督の細田守【Getty Images】
監督の細田守Getty Images

舞台は高知県の田舎町。女子高生のすずは、幼少時に事故で母を失って以来、何かと塞ぎ込みがちだ。父との関係は上手くいっておらず、持って生まれた歌の才能を活かす機会にも恵まれず、もっぱら作曲に打ち込むことで日々をやり過ごしていた。

そんな中、親友のヒロちゃんから、約60億人ものユーザー数を誇る、巨大仮想世界「U」に招待された。すずは「AS」というアバターに自己を投影させ、自作の歌を披露すると、一躍「カリスマ歌姫」として名を馳せ、「U」における人気者となった。

すずの「AS」は、クラスのマドンナ・ルカちゃんの形相に自身のトレードマークである「そばかす」を合成した顔立ちである。名前は「ベル」と名付けた。

現実世界でも「ベル」の人気は話題になっている。すずは仮想空間で華やかな注目を浴びているものの、現実の学校生活では相変わらず地味な生徒のままである。

そんなある日、仮想空間でベルのコンサートが開かれることになった。ギャラリーは2億人以上である。しかし、公演の途中で巨大な竜が出現し、会場が荒らされる事態に。

「U」の治安部隊「ジャスティス」のリーダー・ジャスティンは、竜の正体を明らかにするため、「AS」から現実の姿を暴く「アンベイル」という手段に打って出るが、すんでの所で逃げられてしまう。

竜は数年前から「U」の世界に出現し、横暴な行いで周囲から恐れられている。他方で、彼を英雄視する声も少なからずあった。

ベルは竜が気になり、彼が住む城を訪れる。ベルを追い出そうとする竜だったが、彼女が純粋で美しい心の持ち主であると知り、徐々に心を開いていく。

一方、ジャスティンは竜の迫害に躍起になっている。ベルはジャスティンから「竜の居所を教えないと、アンベイルによって現実の姿を晒す」と脅されるが、竜によって救われる。

そんな中、現実生活でもすずの身に大きな変化が生じる。幼馴染であり、クラスメイトの「しのぶ君」から、「ベル」の正体であることを見抜かれてしまったのだ。そんな折、ヒロちゃんから「U」の世界で大事件が起きていると知らされる。竜のお城が「ジャスティス」による総攻撃を受け、今にも陥落間近となっていた。

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