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「私にとっては再スタート」
100%役に没頭して作り上げた渾身の芝居

黒沢あすか
写真:武馬怜子

―――長いキャリアを誇る黒沢さんにとっても、映画『敵』への参加は特別なものだったのでしょうか?

「この作品が私にとっては再スタートなんです。それまでは、家庭と俳優業の二足のわらじを履いてやってきました。そんな中、子育てが一段落して、改めて俳優業にスイッチを入れてもいいかも…と思えたタイミングで恵まれたのが今回の役でした。メインのロケ地である儀助の家が大宮の近くだったのですが、撮影期間中、近くのホテルを借りて、役に没頭することができました。念願だった吉田大八組に参加するということで、家族が全面的に協力してくれたんです」

―――家では子育てに励む一方、撮影現場では別人を演じなければいけないわけですよね。両立の苦労は想像を絶するものがあります。

「家庭と仕事を両立していた時期、家族も親戚も『立派だよ』と褒めてくれて、とても励みになりました。一方で、撮影現場で揺らいでいる自分がいるんです。自分なりにちゃんと整えているつもりでも、おぼつかない自分が背中にくっついているという感覚があって。『私は俳優として完全体じゃない』という感覚が常に消えなかったんです。でも今回は久しぶりに100%役に没頭することができました。私にとって特別な作品です」

―――再スタートを切られた黒沢さんの今後のご活躍も楽しみです。ありがとうございました。

ヘアメイク:尾花ケイコ(PINKSSION)

(取材・文:山田剛志)

1月17日(金)テアトル新宿ほか全国公開

ⓒ1998 筒井康隆/新潮社 ⓒ2023 TEKINOMIKATA -
ⓒ1998 筒井康隆新潮社 ⓒ2023 TEKINOMIKATA

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【了】

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