対決する演技の妙

杉田雷麟、近藤亮太監督、写真:wakaco
杉田雷麟、近藤亮太監督、写真:wakaco

―――本作は、基本的にワンシーンワンカットで撮られていますが、それによって、存在しない廃墟の秘密を聞く重要なシーンでは、敬太と一緒に謎を聞いているような感覚になりました。このシーンの演出や演技にはどのようなこだわりを込められましたか?

杉田「『吉田ヤギさんに負けてるから、負けないように頑張って!』って監督に言われたのを覚えています(笑)。僕はそのシーンで吉田さんの話を聞いているだけなので、受け身の演技に徹しました」

―――このシーンでは相手役の感情がどんどんヒートアップしますが、そのテンションに対抗するのは大変だったのではないでしょうか?

杉田「吉田さんの演技に合わせるだけでよかったのですが、熱量に圧倒されてしまいました。それを見かねて、監督は『負けないように!』と言ってくださったんだと思います」

―――近藤監督は、どのように演出されたのでしょうか?

近藤監督「吉田君は、僕の元々の知り合いで、本作に出演していただきました。このシーンは元々、最初に脚本を書いたときに清水監督に、『丸ごといらないんじゃないか』と言われたシーンだったんです。理由としては、ただ喋るだけのシーンなので、面白く成立させるのは難しいという懸念があったからです。ですが、彼ならこのシーンを成立させられると考え、オファーをしました。

さらに、このシーンはワンカットで撮影したので、吉田君の凄さが際立ちましたし、杉田君にも『吉田君に負けないように』とはっぱをかけました。お2人とも本当に素晴らしく、このシーンは個人的にも気に入っています」

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