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天才漫才師のモデルはオードリー若林正恭? 基となった実話とは? 映画『笑いのカイブツ』考察&評価。忖度なしガチレビュー

text by 寺島武志

大喜利のレジェンド、伝説のハガキ職人・ツチヤタカユキ。彼の自伝小説を元に、岡山天音が熱演した映画『笑いのカイブツ』が公開中だ。主演を務めたのは、次世代を代表するカメレオン俳優・岡山天音。他に、菅田将暉&仲野太賀と豪華キャストが集結した話題作のレビューをお届けする。(文・寺島武志)<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>

※本レビューでは映画のクライマックスについて言及があります。

“伝説のハガキ職人”の半生を映画化

©︎2023「笑いのカイブツ」製作委員会
©︎2023笑いのカイブツ製作委員会

本作は、16歳からラジオの深夜放送やテレビ大喜利番組への投稿を続け、“伝説のハガキ職人”としてその名を轟かせたツチヤタカユキ氏の波乱と狂気に満ちた半生を描いた自叙伝を映像化した作品だ。

これが長編映画初監督作品となる滝本憲吾は、吉本興業系の映像専門学校「なんばクリエイターファクトリー」において井筒和幸ゼミの第1期生となり、井筒門下生として鍛えられ、その後、フリーの助監督として、井筒の他にも、廣木隆一氏、中島哲也氏などの監督の下で腕を磨いてきた。

主人公のツチヤを演じたのは、好青年から犯罪者まで、様々な役柄を演じ分ける岡山天音。ツチヤが高校にもろくに登校せず、ただひたすらネタを書き続けて過ごしていたのに対し、中学時代にテレビドラマに出演したことがきっかけで芝居の魅力に憑りつかれ、中卒で芸能界に飛び込んだ岡山。彼は、演じながらも共通点の多いツチヤそのものが憑依していったのではないか。それほどまでの怪演を見せている。

今ではリスナーからの投稿も、専用フォームやメール、X(旧Twitter)によるものがほとんどだが、「ハガキ職人」という言葉は健在で、そこから放送作家や構成作家、バラエティー番組の演出に携わる人材を多く輩出し続けている。

古くはナンシー関(故人)や古田新太、「アメトーーク」や「ロンドンハーツ」などを手掛けるテレ朝の敏腕プロデューサー・加地倫三氏もその1人だ。

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