ロボット×父子の絆を描いた異色作

『リアルスティール』(2011)

主演のヒュー・ジャックマン【Getty Images】
ヒュー・ジャックマン【Getty Images】

監督:ショーン・レヴィ
脚本:ジョン・ゲイティンズ
原案:ダン・ギルロイ、ジェレミー・レヴェン
原作:リチャード・マシスン『四角い墓場』
出演:ヒュー・ジャックマン

【作品内容】

 2020年のロボット格闘技が流行するアメリカ。

 プロボクサーからロボット格闘技の世界に転身したチャーリー(ヒュー・ジャックマン)は、ロボットを使って地下格闘技で一攫千金を夢見ている。

 ある日、チャーリーの離婚した妻が死亡したことが判明。彼の息子マックス(ダコタ・ゴヨ)の養育権をめぐり、妻の姉デブラ(ホープ・デイヴィス)と話し合うことになる…。

【注目ポイント】

 本作は今まで好き勝手に生きてきた男が、父親として目ざめていく物語だ。2人の絆を深めるきっかけは、たまたま廃工場で見つけた旧式ロボットATOM。親子はATOMと共にロボット格闘技の戦いに参加する中で、お互いを理解するようになるのだ。

 特に、印象に残るシーンは、ロボット格闘技に自分と同じように没頭していくマックスのことを恋人のベイリー(エヴァンジェリン・リリー)に、うれしそうに話すシーンだ。

 息子が自分と同じ道をたどっている姿を間近にして、うれしくて仕方がないのだ。このシーンを見た筆者は、個人的なことに思いを巡らしていた…。

 筆者は現在、まがりなりにも文章を書く仕事をしているが、我が父もかつて出版の世界に身を投じていた。同じような道をたどっている私を見て、父もチャーリーと同じような気持ちになっているのだろうか?

 本作を観ながら、そんなことを考えていたのである。ロボット格闘技というユーモラスなアイデアに目が行きがちだが、本作は紛れもない父の息子への愛情を描いた映画である。

(文・シモ)

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【了】

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