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汚物と暴力にまみれたダークな世界観〜演出の魅力

『セブン』の撮影現場。デビッド・フィンチャー(右)と主演のブラッド・ピット
セブンの撮影現場デビッドフィンチャー右と主演のブラッドピットGetty Images

本作は“七つの大罪”(キリスト教カトリックで全ての罪の根源となる7つの罪)をテーマとした、連続猟奇殺人を追う2人の刑事の姿を描いたサイコサスペンス。監督は『ファイト・クラブ』『ソーシャルネットワーク』のデヴィッド・フィンチャーで、脚本はアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー。デビッド・ミルズ役をブラッド・ピットが、ウィリアム・サマセット役をモーガン・フリーマンが務める。

公開当時は4週連続で興行収入1位を記録し、今なお根強い人気を誇る本作だが、一般的なハリウッド映画のイメージとは異なり作風はダーク。なにせ最初のシーンでいきなり登場するのが、山盛りスパゲティに顔を突っ込んだままこと切れている「ギネスブック級」(ミルズ談)の巨漢男の腐乱遺体なのだから、先の展開も推して知るべしである。

フィンチャーは本作の制作にあたり、汚物や暴力にまみれた陰気な世界観を作るようデザイナーのアーサー・マックスに依頼。マックスは彼の要求に応え、随所に観客を不快にさせるような演出を散りばめた。

例えばミルズとサマセットが事件現場に向かうシーンでは、そのほとんどで土砂降りの雨が降っており、室内のシーンでも都市の喧騒や救急車の音が間断なく聞こえている。

そして、登場人物たちの日常をじわじわと浸食するこの気持ち悪さは、都市に暮らす住民の心の反映でもある。サマセットの次のセリフからもうかがえるように。「都会では他人に関心を持たない」「助けて!では誰も来てくれない」

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