これからのMCUの「基準点」になる1本

映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』
©2025 MARVEL.

 もちろん映画ファン的な見どころもある。あのハリソン・フォード82歳がブチ切れてレッドハルクに変身するというだけでワクワクするし、新キャラクターのリースバット=セラフを演じたシーラ・ハースも、“ブラック・ウィドウ”スカーレット・ヨハンソンとはまったく違ったタイプで、いろんな意味で新時代を感じさせる。

 個人的にはサイドワインダー役のジャンカルロ・エスポジートの激シブな佇まいにシビれた。『ブレイキング・バッド』のガスが武闘派だったらこんな感じかもと思わせる銃さばきは見ものだ。

 評価が分かれそうなのが、主役という重圧を背負わされたアンソニー・マッキー。相変わらず端正というかクソ真面目なキャラクターで、そこが魅力ともいえるが、先代と比べられて思い悩んだり、2代目ファルコンに対して先輩風を吹かせまくるなど、それなりに人間味を感じさせる描写もある。

 新鋭ジュリアス・オナー監督は若いのに、ヘタに個性を発揮しようとしない職人ぶりが光る。大作だけに制作側からの口出しも多かったと思われるが、崩さず、ふざけず、ヒーロー映画の王道をすっきり淡麗に仕立てあげた。

 結果的に入門編としても、ここから再学習することも可能なバランスの良さ。これからスパートをかけていくMCUの「基準点」として、押さえておかなければならない1本といえるだろう。

(文・灸 怜太)

【作品概要】

監督:ジュリアス・オナー
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:アンソニー・マッキー/ダニー・ラミレス/リヴ・タイラー/ジャンカルロ・エスポジート/平岳大/ハリソン・フォード他
日本版声優:溝端淳平/村井國夫/藩めぐみ/森川智之
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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