映画『野生の島のロズ』評価&考察レビュー。暖かみのある絵画的表現に驚く…物語を盛り上げる音楽の力とは?

text by 島 晃一

アメリカの児童文学作家、ピーター・ブラウンが手がけた「野生のロボット」をアニメ化した長編映画『野生の島のロズ』が全国の劇場で公開中だ。作品の魅力を紐解くレビューをお届けする(文:島 晃一)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:島晃一】

映画・音楽ライター、DJ。福島県出身。『キネマ旬報』、『ミュージック・マガジン』、『NiEW』などに寄稿。『菊地成孔の映画関税撤廃』(blueprint)で映画『ムーンライト』のインタビューを担当。J-WAVE「SONAR MUSIC」の映画音楽特集、ラテン音楽特集に出演。TBSラジオ「アフター6ジャンクション」や『散歩の達人』では、ペデストリアンデッキ特集といった街歩きの企画にも出演、協力。渋谷 TheRoomでクラブイベント「Soul Matters」を主宰している。

興行的にも批評的にも成功

Ⓒ2024 DREAMWORKS ANIMATION LLC.
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 ドリームワークス・アニメーションの新作であり、創立30周年記念作でもある『野生の島のロズ』。ビーター・ブラウンによる児童小説『野生のロボット』(2016)を原作とし、『リロ&スティッチ』(2002)や『ヒックとドラゴン』(2010)で知られるクリス・サンダースが監督・脚本を務めたアニメーション映画だ。

 昨年9月に全米公開されると、『野生の島のロズ』はアニメ映画として歴代3位のオープニング興収を記録。第97回アカデミー賞では作曲賞、音響賞、長編アニメーション賞にノミネートされ、アニメ界のアカデミー賞とも称されるアニー賞では最優秀作品賞を含む9部門を受賞するなど、興行的にも批評的にも成功している。

 舞台となるのは、野生生物が生息する無人島。そこで目覚めた最新型アシストロボットのロズは、あらかじめ設定されたプラグラムにより動物たちの言葉や習性を学び、少しずつ大自然に順応する。偶然にもロズは雁(ガン)の卵を見つけ、ロボットを母親だと思い込むひなにキラリと名付けた。ロズは、キツネのチャッカリたちの助力を得ながらキラリを育て、渡り鳥として必要なことを教えていく。

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