動物たちが共生する姿に学ぶこと
これまで主に、ロズの変化とその演出について触れてきたが、親心の芽生えやキラリの成長だけでなく、チャッカリら動物たちが本能を超えて共生する姿も感動的だという点も、最後に付け加えておきたい。
ひなどりに触れたことでロボットがプログラムを超えて感情めいたものに目覚める一方で、最初に怪物と呼んでいたロズと打ち解け、弱肉強食の本能を超え共に生きていく動物たち。その共生する姿が胸を打つのは、人間や社会が直面する問題に通じるところがあるからだろう。ロズと動物たちの姿を通じて、本作は、親子愛だけでなく、テクノロジーと自然、種や本能を超えた共存、多様性といったいくつもの普遍的なテーマを考えるきっかけになるはずだ。
(文・島 晃一)
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