オッペンハイマー「アインシュタインは物理学の生きた守護聖人」

ノーラン監督の映画のインスピレーションとなったノンフィクション本『American Prometheus: The Triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer(原題)』によれば、オッペンハイマーはアインシュタインを「物理学の生きた守護聖人」と呼んでいる。また、オッペンハイマーは、アインシュタインが広島と長崎の原爆投下に何らかの責任を負っているという主張に反論している。

映画『オッペンハイマー』に登場するアインシュタインは、他のキャストに比べて登場時間が長いとは言えないが、米国史上最長のテレビアニメ『ザ・シンプソンズ』(1989〜)や、テレビアニメ『リック・アンド・モーティ』(2013)、SFテレビドラマシリーズ『新スタートレック』(1987〜)などの番組にも登場するアインシュタインは、今までもこれからもアメリカのポップカルチャーにおいて重要なモチーフであることには変わりない。

俳優ジェフリー・ラッシュは、現在アフリカ系アメリカ人の急進的黒人解放運動指導者、イスラム教導師であるマルコムXと、非暴力差別抵抗活動を行ったマーティン・ルーサー・キング牧師を描く、ナショナル・ジオグラフィックの伝記シリーズ『ジーニアス』(2017〜)のアインシュタイン役で、プライムタイム・エミー賞作品賞(リミテッド・シリーズ部門)また映画の主演男優賞にノミネートされている。

さらに現在Netflixにて、アインシュタインと核時代の幕開けの複雑な関係に取り組んだ最新作品であるドキュメンタリードラマ『アインシュタインと原爆』(2024)が配信中となっている。

彼の成し遂げた偉業は文化的、そして科学的、歴史的観点から、多くの人にとって魅力的であり続けているのだ。映画『オッペンハイマー』の圧倒的な映画業界での成功が、本作に出演する科学者たちへの関心を高めているのは間違いないようだ。

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