音楽プロデューサーも認める美声
松たか子
松たか子【Getty Images】
―――続いて紹介するのは舞台女優や歌手としても活躍されている松たか子さんです。
「『アナと雪の女王』(2013)のエルサ役でおなじみですね。「個人的に松さんは、舞台にも歌にも精通した正統派のミュージカル女優というイメージですね。
一般的に、歌と舞台だと身体の使い方が違っていて、歌ではいかにノイズを減らすか、舞台ではいかに声を響かせるかが重要になってきます。その点、松さんは、息だけでなくしっかり声も出ていて、高音も低音もよく鳴っている。身体の使い方が本当にお上手なんだと思います」
―――松さんは、音楽プロデューサーの日向大介さんから「純粋な音楽家になれる素質があった」というお墨付きをもらっていますが、歌い方はいかがでしょうか。
「クセがなくて誰にとっても聞きやすい印象ですね。石田さんの歌声もそうですが、ニュートラルで『声のすっぴん度』が高いから、変幻自在なんですね。ちなみに生徒には、『レット・イット・ゴー〜ありのままで〜』(『アナと雪の女王』のメインテーマ)を聞く時は、MayJ版ではなく松たか子版を聞いて、と言っています。それくらい、お手本のような歌声です」
―――ちなみに松さんは、2015年に第1子を出産され、約3か月後に舞台に復帰されています。妊娠は声質に影響するのでしょうか。
「かなり影響しますね。妊娠中は、1年近くお腹に5キロの重りをつけているようなものなので、呼吸もしにくいし、骨盤も開いてしまっている。それが、出産と同時に一気に元に戻るので、出産前の声の出し方を忘れてしまう人もいると思います」
―――アーティストの中には、出産後数日でコンサートに復帰した方もいらっしゃるようですが…。
「それは、かなり無茶ですね(笑)。元の声に戻るまで、休養はじっくり取った方がいいと思います」