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サンジは完璧?残念?その再現度は…実写版『ワンピース』キャラ評価(5)。ゼフとの別れのシーンが原作と違う?

text by 吉田健二

原作者の尾田栄一郎が製作に携わったこともあり、多大な注目と高い評価を得ているNetflixの実写版『ONE PIECE』。今回は、実写版『ワンピース』に登場するキャラクターを、原作との違いを含めて深掘り解説。最も再現度が高かったキャラクターは誰…!? (文・吉田健二)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

サンジの肉体美とスタント無しの足技がスゴい!

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麦わらの一味の戦闘員兼コックとして活躍するサンジ。海上レストラン「バラティエ」で働いていた副料理長で、口は悪いが料理の腕は超一流。サンジの夢は、世界中の海の食材が集まるという伝説の海「オールブルー」を見つけることである。

そんな彼を実写で演じるのは、俳優タズ・スカイラー。スペイン出身の彼は、イギリス陸軍の予備役に志願するも不合格。再志願までの待機期間中に、執筆活動や演技を始め、舞台『Warheads(原題)』では、イギリスで最も権威のある演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞の脚本賞にノミネートする。映画『ボイリング・ポイント/沸騰』(2021)や、映画『キル・チーム』(2019)にも出演するという、奇才を放つ、期待の大きい俳優だ。

タズ・スカイラーは、エクストリームスポーツのプレイヤーであり、本作の公開以前からバキバキの筋肉を披露しており、サンジの得意な足技のためにテコンドーと、シェフとしての料理の訓練を舞台と並行して行っていた。その努力が見事に作品に昇華され、サンジの足技はすべてスタント無しだったという。

サンジは原作では、海軍に大砲を撃ち込まれたルフィが、「ゴムゴムの風船」で、砲弾を返す。しかし、砲弾を返した先にあったのが海上レストラン「バラティエ」であり、そこでオーナー兼料理長をしているゼフが、砲弾により怪我を負い、その件で、ゼフとルフィが揉めている際に、サンジとルフィは対面する。

実写版では、海軍との衝突を避け、ルフィたちは船で霧の中に突入する。船の方向性を見失う一行だが、ルフィが食べ物の匂いを嗅ぎつけ、海上レストラン「バラティエ」を発見。ルフィは食事中にウェイターとして現れるサンジと対面を果たす。

厨房でメニューにない料理を作り、別の料理人に「メニューにはない」と突っ込まれ、「想像力だよ」と返すサンジ。ゼフに「駄作だな」、「メニューに従えないなら別の仕事を探せ」、「お前はもう調理から外す」などと小言を言われる。この掛け合いで、サンジとゼフのいがみ合う関係性をしっかりと視聴者に伝えることに実写版は成功している。

また、サンジの名シーンと言えば、バラティエを去り、ルフィ海賊団の一員になる際に、「……長い間!!!くそお世話になりました!!!」と土下座しながら、最後の言葉を言い放つ場面である。

ゼフの「サンジ、風邪ひくなよ」や、旅立つサンジの「……長い間!!!くそお世話になりました!!!」というセリフは公開前にどのように実写で表現されるのか期待が高まっていたシーンの一つであった。

蓋を開けてみると、原作のセリフは忠実に再現されてはいるものの、温度感が異なる点が気になった。原作では男の別れを描いたアツいシーンであるのに対し、実写版では比較的クールに演出されており、感情表現が抑えられている分、サンジのゼフに対する感謝の気持ちがひしひしと伝わる良シーンとなっている。

この先、実写版『ONE PIECE』では、原作で人気キャラクターであるチョッパーや、人気ストーリーのアラバスタ編などを実写化するのか、期待が高まる。

(文・吉田健二)

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