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映画『 NOPE/ノープ』アカデミー賞ノミネートなし。監督の社会批判のテーマや撮影監督のホイテマの革新的撮影技術を無視?

text by 編集部

素晴らしい映画が歴史のある賞のアカデミー賞にノミネートされ、賞を受賞する時の喜びは大きいものだ。しかし今回の第95回アカデミー賞では、ノミネートされるはずだった映画『NOPE/ノープ』が完全にアカデミーからシャットアウトされていると、憤りの声が起きているようだ。一体何が起きているのか現地のメディアを参考にその内容を確かめていく。

批評家は絶賛! ノミネートなしは不可解

©2021 UNIVERSAL STUDIOS

米colliderによると、2022年8月26日に公開された、ジョーダン・ピール監督の新作SF・ホラー映画『NOPE/ノープ』は、批評家から絶賛されたにも関わらず、今回の第95回アカデミー賞の部門に1つもこの作品はノミネートされなかった。

ピール監督がいかにホラー界で特別な存在なのか、そしてこの映画がいかに慎重に構成された物語であるかを考えるとその内容は、非常に不可解なことだと言える。

テレビ番組『ゴーディーズ・ホーム』の撮影現場で、主人公のチンパンジーが暴走して共演者を襲う、悲惨な場面を目撃する場面など、社会批評とスリルが混在するこの映画は、アカデミー賞にとっては前例もなく、もしかすると重すぎる内容だったのかもしれない。

しかしながら、エム(キキ・パーマー)とOJ(ダニエル・カルーヤ)の兄弟が、見るものを食い尽くす「Gジャン」という謎のエイリアンに遭遇するという内容には、解き明かすべき謎がたくさん散りばめられている。

ちなみに、彼のデビュー作である映画『ゲット・アウト』は、『NOPE/ノープ』と同様、強い社会批判を誇る巧妙に製作されたホラー映画であったが、2018年のアカデミー賞では4部門にノミネートされ、オリジナル脚本賞の1部門を獲得している。

批評家の多くは、『NOPE/ノープ』にピール監督の成熟を見出している。撮影監督のホイテマとタッグを組み「Gジャン」が登場するシーンでは、まるで生き物を見ているような錯覚に陥る視覚効果を作り出し、リアルな恐怖感を醸成することに成功。この巨大な地球外生命体は、行く手すべてに不穏な影を落とし、多くの観客をスリルと絶叫の海に落とした。

しかしながら『NOPE/ノープ』の革新的な仕事は、アカデミー賞選考委員には響かなかったようだ。『NOPE/ノープ』を支持する映画ファンの中には、アカデミー賞の選考委員が、“映画”というものを非常に限定的なものに捉えていると不満の声を挙げる人が少なくない。その点、『NOPE/ノープ』は、アカデミー賞に新たな革命が起こる必要があることを示した作品として、より注目度が高まっている。

歓喜や落胆など、様々な声が上がっている第95回アカデミー賞。映画『NOPE/ノープ』以外にもノミネートされなかったオススメの映画はあっただろうか?

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