史上最高の『相棒』スペシャル回は? 最も面白い神回(3)集団で練炭を囲み…視聴注意の衝撃エピソードとは?

text by Naoki

ドラマ『相棒』が元日SPをやっている事を知っているだろうか。『相棒』ではSeason4から現在のseason23まで19年以上正月の夜に放送されている。2時間以上の放送尺、正月の特別枠という事で例年気合いが入った物語が展開されており、見応えのある作品も多い。今回はその中でも評価の高い5本とその見所を紹介しよう。第3回。(文・naoki)

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season13『ストレイシープ』(2015)

成宮寛貴【Getty Images】
成宮寛貴【Getty Images】

 西田悟巳「杉下右京様…私はアナタに恋をしました」

 クリスマス直前に都内で2件の事件が起こる。1件は、投資家女性の息子を標的とした身代金誘拐事件。さらに、議員を失脚させる為に罪を犯さざるを得ない状況に追い込む事件も発生する。特命係を含めた警察組織はこれらの事件を防ぎきれなかった。

 事件の主犯は新型犯罪を数多く生み出し“犯罪の神様”と評される飛城雄一。飛城の次なる標的となった右京は誘拐されてしまう。唯一右京の誘拐に気が付いたカイトは不仲である父・峯秋から力を借りて右京の救出に乗り出すのだが…全ての鍵を握るのは右京に恋心を寄せていた西田悟巳という女性であった。

 本作は3代目“相棒”甲斐享の成長譚として完成度が非常に高い。忌み嫌っていた父親に頭を下げ、右京を救おうとする場面は胸が熱くなる。また物語としても複数の事件が絡み合い複雑怪奇ではあるが、全てが飛城に繋がっていく構成は見事で、右京に恋する女性の登場などファンには堪らない描写も盛り込まれている。

 しかし巨悪との戦いや“相棒”の成長など元日SPらしさもあるが、サブタイトルである「ストレイシープ(迷える子羊)」が指すように、現代社会で爪弾きにされた人達が集団煉炭自殺をするという正月には相応しく無いショッキングな場面もあるので視聴の際には覚悟も必要だ。

 こちらを描いたのは真野勝成氏。神戸尊の人間面を膨らませた太田愛氏のように甲斐享という若者を成長させた育ての親とも言える。事件よりも特命係やレギュラーなどキャラを活かしたファンサービスのような作品が多いが、そこに物語がハマると大傑作を生み出す脚本家という印象がある。現時点で6年間『相棒』から離れているので、ぜひ帰ってきてほしいと切望している。

(文・naoki)

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【了】

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