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闇が深い…上映禁止・お蔵入りの日本映画(5)。主演が性犯罪逮捕で懲役4年…過激漫画の実写化は悪夢の封印

text by 寺島武志

映画の舞台挨拶で、監督や演者が感謝の言葉を口にする場面を見たことがあるだろうか。彼らは、映画が公開されるのは当たり前ではないということを知っている。苦労やトラブルに見舞われながら作り上げるものなのだ。しかし、この世にはせっかく作られたにも関わらず、公開中止された映画がある。今回は残念ながらお蔵入りの憂き目を見た映画を紹介する。(文・寺島武志)

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原作は有害図書に指定された過激作
主演俳優の逮捕でまさかのお蔵入りに

『善悪の屑』(2019)

製作国:日本
監督・脚本:白石晃士
原作:渡邊ダイスケ
脚本:城定秀夫
キャスト:新井浩文、林遣都、馬場ふみか

【作品内容】

2014年から『ヤングキング』にて連載が開始し、2023年2月に完結した、漫画家・渡邊ダイスケによる傑作バイオレンス漫画の満を持しての実写化。『貞子vs伽椰子』(2016)などの白石晃士が監督を務め、『ビリーバーズ』(2022)などのメガホンをとった城定秀夫が脚本を担当。2019年に公開を予定していたが、主演俳優の逮捕によってお蔵入りになった。

【注目ポイント】

新井浩文Getty Images

シリーズ累計部数で580万部を突破した渡邊ダイスケの大人気原作マンガ『善悪の屑』の実写化プロジェクトは、発表されるなり、バイオレンス映画の新しい傑作を期待するファンたちの間で話題を呼んだ。

しかし、公開直前の2019年2月、主演の新井浩文が、派遣マッサージ店の女性キャストへ性的暴行を働いたとして、警視庁に強制性交容疑で逮捕される。当然ながら、この時点で撮影・編集を終えており、さらにこの年の夏公開予定だった『台風家族』も公開延期となり、その違約金は2億円以上ともいわれた。

加えて、出演作品が優に100本を超える人気俳優であったため、映画のみならずテレビドラマやCM業界にも、その影響は及んだ。

当初、代役による取り直しも検討された。しかし、題材が題材である。原作マンガは、東京都から「青少年の健全な育成に関する条例」に基づく不健全図書(いわゆる「有害図書」)に指定されるほど過激な内容であり、もし公開されていたら、観客は実際に新井が犯した罪を思い出し、物語の内容に入り込めなかったのではないだろうか。

新井は、被害女性との示談が成立したものの、2020年12月、懲役4年が確定。映画、ドラマに引っ張りダコで、日本アカデミー賞の優秀助演男優賞も受賞していることから、実績・実力は申し分ない。しかし、犯した罪の大きさを鑑みると、スクリーンへのカムバックは容易ではない。

(文・寺島武志)

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