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映画で”死”を学ぶ…人生最後の日々を描く傑作映画(5)。世界絶賛の日本映画「安楽死」にメスを入れた意欲作

text by 編集部

いずれ誰しもに訪れる、老い…。今回は、高齢者やその家族の生活や思考回路に焦点を当てた、認知症・老いがテーマの映画5本をセレクト。アンソニー・ホプキンスが徐々に悪化していく認知症患者を熱演した傑作など、洋画、邦画、ドキュメンタリー作品までを幅広くご紹介する。

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高齢者が生死を選択できる架空の制度をテーマに「安楽死」にメスを入れた意欲作

『PLAN75』 (2022)


出典:Amazon

上映時間:97分
製作国:日本
監督:早川千絵
脚本:早川千絵、ジェイソン・グレイ
キャスト:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン

【作品内容】

後期高齢者に生死の選択権を与える「プラン75」が国会で可決された未来の日本。夫と死別した78歳の角谷ミチは高齢を理由にホテルを解雇され、「プラン75」の申請を検討し始める。一方、「プラン75」申請窓口で働くヒロムや死を選んだお年寄りをサポートするコールセンタースタッフの瑶子らは、「プラン75」に疑問を抱きはじめる。

【注目ポイント】

早川千絵監督【Getty Images】

早川千絵監督の初長編作品で、オムニバス映画「十年 Ten Years Japan」(総合監修:是枝裕和)の一編として発表した同名短編のセルフリメイク作品。第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品され、最高賞カメラドールのスペシャルメンション(次点)に選ばれたことでも話題を呼んだ。

2016年に神奈川県相模原市で起きた障がい者殺傷事件からヒントを得たという本作では、繊細な人間ドラマや邦画らしい美麗な映像を通して、「安楽死」をめぐる人間の問題に鋭いメスを入れている。とりわけ主演の倍賞千恵子の痛切な演技は必見。誰にでも訪れ得る老後の孤独とみじめさを全身で演じている。

自己責任論が幅を利かせ、弱者への風当たりがどんどん強くなっているように感じられる昨今の日本。本作があくまでフィクションとして片づけられることを願いたい。

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