ツッコミどころ満載で大コケ…2023年ガッカリ日本映画(5)脚本が穴だらけ…不祥事連続で悪夢の6000万円
『怪物』や『ゴジラ−1.0』、『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』など、話題作が目白押しだった今年の日本映画界。しかし、そんなヒット作の裏側には、鳴り物入りにも関わらず儚く散っていった作品も数多く存在する。今回は、そんな作品の中から5本を厳選してご紹介しよう(文・編集部)
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脚本が穴だらけ? 興行的にも残念な結果に終わった意欲作
『マンホール』
上映時間:99分
監督:熊切和嘉
原案・脚本:岡田道尚
キャスト:中島裕翔、奈緒、永山絢斗
【作品内容】
ある日、酔った弾みで落ちたマンホールの底で脱出不能になった主人公の川村俊介(中島裕翔)。翌日に社長令嬢との結婚式を控えていた。目を覚ました俊介はなんとか脱出しようとするも、落ちた拍子に足をケガしており、自力で這い上がれないだけではなく、自分がどこのマンホールに落ちたのかも、見当がつかなかった。
片っ端から仲間に連絡しますが誰も出ず、唯一、電話に出てくれたのは、元カノの工藤舞(奈緒)だった。舞に事情を説明し、捜索をお願いする俊介だが、送った地図を頼りに探しても、俊介が落ちた穴は見つからず、さらに、警察にも相手のされない始末…。
果てはSNSも使って、ネット民に助けを求める俊介だが、そうこうしているうちに、マンホールの中で腐乱死体を発見する。その死体の正体も含め、サスペンスに満ちたストーリーが進行し、恐怖のラストを迎える。
【注目ポイント】
「Hey! Say! JUMP」の中島裕翔が主演を務めるシチュエーション・スリラー。監督は『海炭市叙景』(2010)や『658km、陽子の旅』(2022)の熊切和嘉が、脚本を『マスカレード・ホテル』『ライアーゲーム』の岡田道尚が務める。
中島の6年ぶりの主演作となる本作。「マンホールから脱出する」というアイデアは、ワンシチュエーションムービーとしては悪くなく、スマホを駆使して脱出を図るという現代性やタイムリミットをはじめとするサスペンス要素が観客の興味を惹きつける。
ただ、脚本はツッコミどころが多く、マンホールに落ちたのに警察ではなく友人や知人に助けを求めなかったり、穴だらけの無駄なミステリー要素が付け加わっていたりと、全体的に残念なシーンが多い。
そして、最も残念なのは、興行的な失敗だろう。公開時は「ネタバレ禁止」を喧伝されたものの、蓋を開けてみると興行収入6000万円の大爆死。さらに、ジャニーズをめぐる一連の騒動や、出演者である永山絢斗の逮捕なども重なり、全体的に不運が際立つ作品となっている。
とはいえ、邦画では珍しいワンシチュエーションものを制作した製作陣の勇気には拍手を送りたいところだ。
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