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「なぜそうなる!」理不尽改変に激怒…原作者に嫌われた名作映画(4)えっ日本漫画の権利を韓国が勝手に売却!?

text by 寺島武志

名作と呼ばれる映画作品の中には、元となった原作そのものが名作であることも多い。原作つきのものを映像化する場合、ストーリーの改変やその権利をめぐってのトラブルはつきものだが、中には訴訟問題にまで発展してしまうことも。今回は、原作者やその親族から訴えられた海外映画を5本セレクトしてご紹介する。(文・寺島武志)

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元々はスピルバーグ監督×ウィル・スミス主演だった!

『オールド・ボーイ』(2013)

スパイク・リー監督【Getty Images】
スパイクリー監督Getty Images

上映時間:103分
原題:Oldboy
製作国:アメリカ
監督:スパイク・リー
脚本:マーク・プロトセビッチ
原作:原作・土屋ガロン、作画・嶺岸信明『ルーズ戦記 オールドボーイ』
キャスト:ジョシュ・ブローリン、エリザベス・オルセン、シャールト・コプリー、サミュエル・リロイ・ジャクソン、マイケル・インペリオリ、ポム・クレメンティフ、ラミ・マレックラミ・マレック

【作品内容】

1993年10月8日、仕事面でも失敗続きの冴えない男ジョー・ドーセット(ジョシュ・ブローリン)は泥酔し意識を失う。目を覚ますと、何故か突然拉致され、テレビだけが置かれた部屋に閉じ込められていた。理由も分からないままその後20年も監禁されたジョーは、ある日突然解放される。

外界に出ると、ジョーは妻殺しの汚名を着せられており、ジョーは自分を陥れた犯人への復讐を誓う。

【注目ポイント】

カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞した韓国映画『オールド・ボーイ』(2003)のハリウッドリメイク版の本作。

自分を監禁した男への復讐劇を繰り広げるサスペンススリラーだ。メガホンを取ったのは、後に映画『ブラック・クランズマン』(2018)でオスカーを手にし、カンヌも制した鬼才スパイク・リー。

韓国映画のリメイクであるものの、その大本の原作は1996年から1998年にかけて「漫画アクション」(双葉社)上で連載された日本のマンガだ。しかしながら、この原作=日本、映画化=韓国、リメイク=アメリカという複雑な図式が、問題を引き起こすことになる。

映画化の権利を取得し韓国版を製作したショーイースト社が、原作者の土屋氏と嶺岸氏、および版権を有する双葉社の許可なく映画化の権利をユニバーサル・ピクチャーズに売却。ドリームワークス・ピクチャーズ製作として、スティーヴン・スピルバーグ監督、ウィル・スミス主演によるリメイクされるという計画が明るみになる。

これに対し双葉社は契約違反を主張し、ショーイースト社を相手取り、ソウルの裁判所に提訴する事態となった。

結果的にスピルバーグ監督とウィル・スミス主演は計画から降板し、上記のリメイクプロジェクトは中止された。一方で、双葉社と土屋、嶺岸両氏はハリウッドでのリメイク版製作自体は歓迎する声明を出していた。

その後、ライオンズート・エンターテインメントの子会社であるマンデート・ピクチャーズが権利を獲得。スパイク・リー監督のメガホンによってハリウッドリメイク版は日の目を見ることとなった。

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